2018 Fiscal Year Research-status Report
天然および人工由来の臭素化ビフェノールのヒト曝露と体内動態研究
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17K00574
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00258500)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 臭素化合物 / 母乳 / 海藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)海藻由来の2,2'-diMeO-BB80, tetrabromoveratroleおよび2,4-diMeO-tetrabromobenzeneを用いて、ラットおよびヒト肝ミムロソームによるin vitro代謝実験を行った。いずれの成分も、2個のメトキシ基の1つが脱メチル化してmonoOH体を生成し、脱メチル化に関与する分子種は主にCYP2B6であると推定された。これらの脱メチル化体は抗酸化活性、抗菌活性(抗MRSA)および弱いグルクロニダーゼ阻害活性を有することから、食事中のMeO-PBDEは、ヒト曝露後、脱メチル化により抗菌・抗酸化などの機能性が増すことが示唆された。
2) OH-PBDE関連物質の残留調査から、食事による曝露量の評価およびヒト母乳中のOH-PBDE量の実態を調べた。食事由来のOH-PBDEは主に海藻食品から、一方、MeO-PBDEは魚介類に由来すると推定された。日本における海藻(S. fusforme)の加工食品中のOH-PBDEは未検出~2 ug/g dryの範囲で検出され、地域差が大きく、ヒトのOH-PBDE摂取量は大きくばらつくと思われた。日本人の血液・母乳から人工PBDEと同レベルの天然OH-PBDEが検出されており、そのデータを検証している。
3 魚介類や鯨類にはOH-PBDEの前駆物質であるMeO-PBDEがPOPsの1つであるPBDEと同レベルで残留することがわかったので、今回、環太平洋沿岸(日本近海、アラスカおよびカリフォルニア)のマダラに残留する有機フッ素化合物(PFASs)の蓄積状況を調べた。その結果、長鎖PFCA(主成分:炭素数11のカルボン酸)が日本海域に高く、PFOS(炭素数8のスルホン酸)がアメリカ西海岸に分布していることが分かった。このPFASsの地域差と天然由来OH-PBDEの分布について関連性を調査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトの生体試料として母乳および食事試料から臭素化合物を検出し、その由来を調査するためのデータ解析に時間を要している。さらに目的物質の抗酸化作用について調査中であるが、サンプル数を増やす必要がある。また現在、海藻の抽出条件を再検討している段階であり、その結果によって計画を少し変える可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
海藻種を分類して、天然由来成分の分布を市販食品および東アジア海域で採取する海藻を調査し、機能性成分の利用を含めて検討していく。具体的には、 1)日本産(沖縄、三重県)の海藻のほかに、台湾産(基隆、澎湖島)の海藻中のOH-PBDE関連物質について、LCMSMS(ESI法)およびGCMS(ENCI法)により探索を行うとともに海藻および魚介類について、OH-PBDEの分布に関するデータベースを作成する。MeOH、酢酸エチルによる抽出区分ごとの抗酸化活性、グルクロニダーゼ活性を測定し、機能性を有する海藻臭素成分を検索する。 2)魚介類からの天然由来MeO-PBDEおよびPOPsの濃度比較、海藻由来のOH-PBDEおよびPOPsについてデータベースを作成する。 3) 食事経由によるMeO-PBDEおよびOH-PBDEのヒト曝露の長期トレンドを予測する。さらに、天然および人工由来のPBDE関連化合物の摂取量とヒト体内負荷量の経年変化を比較するとともに、MeO-PBDEの代謝活性化による影響評価を行う。
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Causes of Carryover |
1) 臭素化合物の総量測定法として燃焼イオンクロマトグラフィーのサンプル測定準備が次年度に伸びたため。 2) 海藻サンプルの分析に台湾などの試料が必要になったため。 3) 分析法としてLCDMS分析および活性測定法の分析材料の支払が次年度に伸びたため。 以上、材料収集費および測定依頼費用として計画する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] In vitro metabolism of 2,2',3,4',5,6,6'-heptachlorobiphenyl (CB188) by rat liver microsomes.2018
Author(s)
Ohta C, Yamamoto K, Fujii Y, Haraguchi K, Kimura O, Endo T, Kato Y, Koga N.
Organizer
Dioxin 2018: 38th International Symposium & 10th international PCB workshop.
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