2019 Fiscal Year Research-status Report
アパタイト型化合物への金属固溶・析出現象を利用した排ガス浄化用複合金属触媒の開発
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17K00591
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 純雄 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (50233797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 正剛 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (40431613)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アパタイト / 金属析出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアパタイト型リン酸塩Ca10(PO4)6(OH)2(HAp)のチャネル内にCuを導入したCu-HApからのCuイオンの固溶・析出に対する水蒸気の影響について検討した。本研究ではこれまでにアパタイト型リン酸塩への金属水溶液の含浸後熱処理を行う方法でアパタイト型構造のチャネル内にCuなどの金属イオンが導入できることを見出しており、昨年度までに金属イオンの固溶挙動には焼成雰囲気中の水分が影響していることを明らかにしている。 チャネル内にCuを含むCu-HApは,沈殿法で調製したHApに硝酸銅水溶液を含浸,乾燥後に大気中1150 ℃で3 h焼成することで調製した。得られたCu-HAp試料を3,10%のH2Oを含む空気中および乾燥空気中,600~900 ℃で熱処理した結果,3%のH2Oを含む空気中では700 ℃以上,10の%H2Oを含む空気中では650 ℃以上でアパタイト相の他にCuOのピークが見られるとともに,乾燥空気中で処理した試料に比べ,格子定数が小さくなった。これは水蒸気存在下では,アパタイトチャネル中に固溶したCu種が格子外に析出したことを示している。これらの結果から,Cu-HApからのCuの析出には雰囲気中の水蒸気量が大きく影響し,水蒸気量の増加に伴い析出温度が低下することが分かった。このことは焼成雰囲気中の水蒸気量により,Cu-HApからの金属析出挙動が制御できる可能性を示唆しており,今後,水蒸気量を含めた熱処理条件とアパタイト型リン酸塩上に析出した金属種の形態関係を検討することにより,非貴金属系排ガス浄化触媒の候補材料開発のための指針が得られることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cu-HApからのCuの析出に雰囲気中の水蒸気量が大きく影響し,水蒸気量の増加に伴い析出温度が低下することが分かった。このことは焼成雰囲気中の水蒸気量により,Cu-HApからの金属析出挙動が制御できる可能性を示している。以上の成果より,CuおよびFeを含むアパタイト型リン酸塩からの金属種の析出条件に関する新たな知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、Cu、Fe両イオンをチャネル内に含有するアパタイト型リン酸塩の合成法を確立するとともに、金属種がアパタイト中に固溶・析出するための熱処理条件の検討を行っている。その中で、アパタイト中のCu種を析出させるためには,特に水蒸気の影響が大きいことを見出している。現在のところ,複数金属種を固溶させたアパタイトからの金属種析出挙動について検討を行っている。今後,熱処理条件とアパタイト型リン酸塩上に析出した金属種の化学状態,形態および触媒活性の関係を検討することにより,非貴金属系排ガス浄化触媒の候補材料開発のための指針を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度は化合物の合成とその触媒活性の評価を行う予定であったが,金属固溶化合物の合成と熱処理条件の検討を重点的に行い、活性評価に用いるガス等消耗品の消費および装置にかかる部品等の費用が少なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度は新規化合物の合成及び構造評価とともに触媒活性評価を進めその費用として使用する。
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Research Products
(1 results)