2018 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体を複合利用したオスミウム系廃液・廃固体の新規包括的処理技術の開発
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17K00593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
布浦 鉄兵 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (40444070)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オスミウム / 四酸化オスミウム / 超臨界水 / 超臨界二酸化炭素 / 廃液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、極めて高い毒性を持つにもかかわらず世界的に無害化技術の確立されていないオスミウム含有廃棄物について超臨界水及び超臨界二酸化炭素を複合利用した新規オスミウム除去・回収プロセスを開発することが目的である。 (1)オスミウム模擬廃棄物の超臨界水酸化挙動の検討:昨年度に引き続き回分式装置と流通式装置で検討した。回分式装置による実験では、装置内に各種オスミウム模擬廃液と過酸化水素水を導入し、密封したのち反応温度まで昇温し、所定時間反応させたのち急冷して反応を停止させた。反応後の残留液を採取してオスミウムの存在態を分析した。連続式装置による実験では、2台のポンプにより所定流量で圧送されたオスミウム模擬廃液及び過酸化水素水が各々予熱部で設定温度まで昇温され、反応器入口部で混合し超臨界水酸化反応に供される。所定の滞留時間で反応後、冷却・減圧して気相・液相を各々回収した。本検討により各種共存物質存在下におけるオスミウム化合物の超臨界水酸化挙動について明らかとなった。このような検討例は筆者の研究以外に存在せず、学術的に極めて重要な新しい知見が得られた。 (2)四酸化オスミウムの超臨界二酸化炭素抽出挙動の検討:昨年度に作成した装置を引き続き使用して検討を行った。抽出器内に所定の四酸化オスミウム水溶液を封入し、内部を所定の温度・圧力まで上昇させた。そこに超臨界二酸化炭素を所定流量で流通させ、抽出工程を開始した。抽出器から流出する超臨界二酸化炭素は、減圧しながらスクラバーを通過させ、オスミウムを捕捉した。抽出工程中及び工程後、抽出器内及びスクラバー内のオスミウム量を分析し、回収率等を測定した。本検討により各種共存物質存在下での四酸化オスミウムの超臨界二酸化炭素抽出挙動を世界で初めて明らかにしたが、これは学術的にも廃液処理の実用上も極めて重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は以下の計画に沿って研究を推進する。 (1)オスミウム模擬廃棄物の超臨界水酸化挙動の検討:前年度に引き続いて検討を行う。実験試料としては、実際のオスミウム廃棄物の組成を参考に、オスミウム化合物に加えて代表的な共存物質を添加した模擬廃棄物を複数種作成して実験検討を行い、各種共存物質がオスミウムの反応挙動に与える影響を定量的に明らかにする。また、有機物が共存する条件での検討においては、気相中の二酸化炭素及び一酸化炭素濃度及び液相中の有機物濃度を分析して共存物質の分解率も同時に測定し、廃棄物無害化処理としての総括的な速度論的検討を行う。 (2)超臨界水酸化処理後の廃棄物からの四酸化オスミウム抽出挙動の検討:(1)の検討での超臨界水酸化処理液を用いて、超臨界二酸化炭素抽出による四酸化オスミウムの抽出特性に関する検討を行い、酸化工程と抽出工程を連結した際の影響や各種共存物質の影響を定量的・速度論的に明らかにする。実験装置及び分析方法は基本的に前年度と同様であり、オスミウム回収率のほか、共存物質についても物質収支を測定し挙動を明らかにする。 (3)総括:最後の6ヶ月において、超臨界水酸化処理と超臨界二酸化炭素抽出処理の双方を組み合わせた実証試験を行う。必要に応じて追加実験を行ったうえで、本プロセスの適用可能性について総括を行う。
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