2017 Fiscal Year Research-status Report
新規気相式核酸分解・滅菌技術の実用化へ向けた最適化研究
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17K00599
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡崎 利彦 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (90529968)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有効成分特定 / 最適化効能評価 / 生物学的安全性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、当初の計画通りに進捗してきている。排ガス中の成分解析では各成分に対し概ね測定感度以下であり、かつ曝露後培養容器を用いた生物学的安全性評価結果においても細胞増殖能に異常を認めないことが明らかになった。 また、培養細胞(HeLa)を用いた庫内発生混合ガスの暴露試験においては、5分の噴霧でも細胞内核酸の高度の分解が得られることが明らかになった。この結果は平行して行ったアイソレーターを用いた過酸化水素ガスによる長時間暴露では得られない結果であったことから、当該開発技術の核酸分解効果に対する優位性とともに、生細胞への新たな作動効果が得られた。発生混合ガス中の有効主要2成分の混合比率による最適化効能評価からは実用化へ向けての有力な知見が得られ、現在特許申請中である。18th World Sterilization Congress(Oct. 4-7, 2017, Bonn, Germany)における発表では、その技術的新規性と科学的効能評価の面から高い評価を受け、1st Prize Best Poster Awardを受賞した。その際に、小型化の可能性につき質問を受けたことから、今後の開発方針として検討を進めていきたいと考えている。今後さらに、チャンバー型試験機を用いた庫内のエアレーションによる残留性評価を進め、無毒化ポイントの解明とともに、形状や組成の違いによる滅菌・核酸分解対象物別に、最適化効能条件のデータベースの構築を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒処理後の排ガスに対する安全性評価については概ね一定の結論が得られた。庫内の発生混合ガスの作動中~停止後のTime-lapse評価を、その残留性から生物学的毒性にわたり詳細な評価を継続して実施していく。また有効成分の特定と、その混合比率による最適化効能評価は極めて大きな進捗が得られ、実用化には大きな知見が得られたと考えている。この成果は現在特許申請中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在使用中のチャンバー型試験機の改良を行い、庫内のガス成分パラメーター連続測定及び温度・湿度制御機能の強化による安定した機器物理的特製の向上を目指したい。そのもとで、従来得られている結果の再現性評価をもとに、実用化に向けた指標となるデータベースの構築に進みたいと考えている。また、さらに実用化への成果を進捗させるために、100m2程度の空間を想定した空間滅菌装置(自己還流型)への改良を行うことで、需要の多い空間滅菌への切り札となる機器開発へ繋げていきたい。
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Causes of Carryover |
当初外注を予定していたBIテストを、自施設での検査かに依頼することでコスト削減が可能になった。また、チャンバー型試験機機への温度・湿度コントロール機能強化、およびガスパラメータ測定器の導入が、試験部品調達の選定および供給の遅れから次年度に繰り越しになったため。
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