2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of an electrochemical advanced oxidation process using cuprous ion/hypohalogenous acid (Cu+/HOX) reaction system
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17K00603
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岸本 直之 龍谷大学, 理工学部, 教授 (00293895)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電解促進酸化 / Fenton型反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は排水中のハロゲン化物イオンを電解酸化して得られる次亜ハロゲン酸と電解生成銅(I)イオンを反応させることにより水酸基ラジカル(OHラジカル)を生成する水処理プロセスの構築を目指すものである。平成30年度は2つの課題((2)Cu(I)/HOX反応を用いた電解促進酸化処理法の運転操作因子の検討,(4)塩素酸・臭素酸等の副生成物の生成特性の評価)に取り組んだ。 (2)については,Cu(II)イオンの電解還元によるCu(I)生成と排水中塩化物イオンの電解酸化によるHOCl生成を組み込んだ電解フローセル型反応器を製作し,運転条件の最適化を進めるとともに,平成29年度に実施した電解槽型反応器との性能比較を行った。その結果,従来の電解槽型反応器では電流密度5 mA/cm2の条件で6.1%に過ぎなかった電流効率が製作した電解フローセル型反応器では41.7%に向上した。また,臭化物イオンの活用についてFe(II)/HOBr反応系を用いた試験を実施した結果,ラジカルの生成は確認されたものの過剰に残存する臭化物イオンがラジカルスカベンジャーとして働き,効率的な促進酸化プロセスとはなり得ないことを明らかにした。 (4)については,電解フローセル型反応器を用い,酸性条件下で塩素酸,過塩素酸の生成特性を評価した。その結果,いずれも検出限界値以下となり,処理過程での生成・蓄積は認められなかった。塩素酸等の生成は遊離塩素の不均化反応が主たる生成経路と考えられる。遊離塩素の不均化反応はアルカリ条件下で起こりやすいことが知られているため,酸性条件での運転により塩素酸等の生成が抑制されたと考えられた。また,適切な運転条件では遊離塩素の蓄積が起こらないことも,塩素酸等の生成抑制につながったと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1)については,平成29年度に完了している。 課題(2)については,平成30年度の研究により最適化が完了し,計画通りに進んでいる。 課題(3)については,平成31年度(令和元年度)に実施する計画である。 課題(4)については,平成30年度の研究により,適切な条件のもとではハロゲン酸化物の蓄積が起こらないことを確認しており,計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究において,電解処理の過程で金属銅の沈殿物の生成が認められた。また,条件によってはカソードが銅メッキされる状況も確認された。そこで,平成31年度(令和元年度)は金属銅沈殿物やカソードに析出した銅を有効活用する技術の開発を行うとともに,課題(3)処理水残存銅イオンのリサイクル技術の確立に取り組む。これらの研究開発の成果を踏まえ,場合によっては銅の有効活用技術と親和するように課題(2)の運転条件の一部見直しに着手する可能性もある。
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Causes of Carryover |
課題(4)塩素酸・臭素酸等の副生成物の生成特性評価において,副生成物の生成が認められなかったため,副生成物低減対策技術開発を想定し,確保していた研究費の分だけ,支出が抑制された。一方,当初想定していなかった金属銅沈殿物の生成といった課題が出てきたことから,平成31年度(令和元年度)の研究において,次年度使用額を金属銅沈殿物の有効活用技術開発に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)