2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of cesium accumulation in Paramecium bursaria
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17K00613
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
洲崎 敏伸 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00187692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 知里 神戸大学, 環境保全推進センター, 助教 (60362761)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 除染 / 原生生物 / 油滴 / 細胞内共生 / クロレラ / ミドリゾウリムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
共生クロレラを持つ原生動物ミドリゾウリムシは、土壌結合性セシウムを土壌から解離させ、細胞内に高濃度に蓄積する能力を持つ。しかし、なぜこれらの原生動物がセシウムを蓄積するのかという生物学的な機構はわかっていない。また、生物学的に見て興味深いのは、取り込まれたセシウムがミドリゾウリムシの細胞質中にある油滴に最終的に蓄積していることである。そこで本研究では、①共生クロレラを持つ原生動物が蓄積する金属元素の種類、②金属元素の蓄積に関わる 共生クロレラの関与、③油滴顆粒への金属元素の蓄積の機構とその生物学的意義、について解析し、本技術の生物学的基盤を確立することを目的とした。2018年度には、共生クロレラChlorella variabilis Kb1株を細胞内に有するミドリゾウリムシPb-Kb1株から、まず、包膜(PV膜)を保有した状態で共生クロレラを取り出し、次いで浸透圧ショックにより破裂させたPV膜のみを遠心分離により単離する方法を開発した。また、PV膜の起源である食胞膜も単離し、それぞれの膜に含まれるタンパク質をSDS-PAGEで展開し、それらを質量分析法により網羅的に解析した。解析に用いたレファレンスデータとしては、2017年度に取得したミドリゾウリムシPc-Kb1株のトランスクリプトームデータおよび別途取得した共生クロレラKb1株のトランスクリプトームおよびゲノムデータベースを用いた。その結果、PV膜から検出されたタンパク質は、すべてミドリゾウリムシ由来のものであることと、食胞膜とPV膜のタンパク質組成は極めて異なっていることがわかった。また、PV膜に特徴的なタンパク質として、油滴顆粒の形成に関与する可能性のある脂質輸送体をはじめとする、PV膜の機能に関係すると考えられる様々な輸送体タンパク質が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度には、2017年度の取得したトランスクリプトームデータを用いたプロテオーム解析を行い、クロレラを包むPV膜の機能に関与すると考えられる様々なタンパク質を同定することに成功した。このように当初の研究計画はほぼ順調に進行しており、最終年度にはこれらのデータの更なる解析と、共生藻と脂質顆粒との形態的関連性を調べるための電顕観察を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策に関しては、申請書に記述した通り、1)ミドリゾウリムシから油滴顆粒を単離し、2) そこに含まれる脂質とタンパク質組成を質量分析法により網羅的に解析し、さらに3)同様の金属元素の取り込み現象が他のクロレラ共生原生動物(ミドリアメーバなど)でも認められるのかを検討する。また、4)油滴に含まれるタンパク質からセシウム蓄積に関与するセシウム吸着性タンパク質を探し、5)セシウムが細胞内膜系を通過する際に働いていると考え られるセシウム輸送体も探索する、という内容を順次進めていく予定である。これらの知見を合わせ、最終的には、6)ミドリゾウリムシを介するセシウムや栄 養塩類の環境中での循環が存在することを証明したいと考えている。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Putative neural network within an olfactory sensory unit for nestmate and non-nestmate discrimination in the Japanese carpenter ant: The ultra-structures and mathematical simulation.2018
Author(s)
Yusuke Takeichi, Tatsuya Uebi, Naoyuki Miyazaki, Kazuyoshi Murata, Kouji Yasuyama, Kanako Inoue, Toshinobu Suzaki, Hideo Kubo, Naoko Kajimura, Jo Takano, Toshiaki Omori, Ryoichi Yoshimura, Yasuhisa Endo, Masaru K. Hojo, Eichi Takaya, Satoshi Kurihara, Kenta Tatsuta, Koichi Ozaki and Mamiko Ozaki.
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Journal Title
Front. Cell. Neurosci.
Volume: 19 September 2018
Pages: 1
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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