2017 Fiscal Year Research-status Report
Creation of new biodegradability controlled plastics based on the degradation mechanism
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17K00619
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大井 俊彦 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40223713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 精一 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (70216828)
松本 謙一郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80360642)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生分解性プラスチック / 乳酸コポリマー / PHA / 環境分解性制御 / デポリメラーゼ / 環境微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境中で分解可能なプラスチックである生分解性プラスチックのなかで、我々が独自に開発した新規な微生物酸性乳酸ベースポリマーの分解制御を適度に付与した新機能プラスチックを開発するため、ターゲットポリマーの生分解機構を分子レベルで詳細に解析する。初めに本年度は、乳酸分率の異なる各種乳酸コポリマーの微生物合成について検討した。これまでの研究基盤から、大腸菌宿主の代謝改変株と乳酸重合酵素遺伝子の組み合わせを変えて培養を行なった。加えて培養工学的に通気量や攪拌速度のパラメーターを変化させた。培養後の菌体から抽出した乳酸コポリマーを抽出し、乳酸コポリマーは約6%から67%までの範囲で制御して生産できることが分かった。 次に、我々が既に分離同定した乳酸コポリマー分解酵素産生細菌Variovorax. sp. C34株からのデポリメラーゼ遺伝子をクローニングした。データベースから既知の細菌から報告されている各種PHAデポリメラーゼの遺伝子配列を参考にプライマーを作成し、遺伝子増幅をおこなった。増幅されたDNA断片を大腸菌発現ベクターであるpET3aに挿入した。形質転換した大腸菌により本デポリメラーゼが分泌生産されたいることが活性測定の結果確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、次年度以降に主に使用する実験材料の準備として、乳酸分率の異なった乳酸コポリマーの生産方法を確立するために、宿主大腸菌の代謝欠損株、使用する重合酵素遺伝子に加え、培養工学的な見地から通気量と攪拌速度の制御の組み合わせを詳細に検討することで、目的とする乳酸分率の異なった乳酸コポリマー生産のための培養条件を見出すことに成功することができた。これらの各種乳酸分率の異なるコポリマーは、次年度以降環境中での分解挙動と、環境分解微生物の解析のための重要なツールとなる。 加えて、本研究遂行のための標準酵素としての位置づけとなる、我々が既に分離同定していたVariovorax. sp. C34株からのデポリメラーゼ遺伝子をクローニングし、大腸菌における異種宿主発現を達成したことから、今後酵素精製が容易でかつ大量調整が可能な生産系を構築することにも成功した。このデポリメラーゼは次年度以降の実験に標準酵素として乳酸コポリマーの酵素分解性評価に利用することを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究実績を基盤に、今後は新規乳酸コポリマー分解微生物の探索と分離同定。さらにデポリメラーゼの酵素精製を行いその酵素特性を詳細に分析する。その内容は酵素分解反応で生成した乳酸コポリマー分解物を可溶性と不溶性画分に分画し、各画分の分解生成物の構造を各種機器分析により解析する。分子量に関してはESI/MS又はMALDO/Sにより分析すると同時に、得られた分子量データとNMR分析から分解物の組成とモノマー配列解析する。さらに酵素分解生成物をHPLCにより精製し、構造をNMRにより情報を取得する。配列が複雑で解析困難な場合は、部分加水分解によってさらに低分子量化させ、精製ご同様に構造解析を行う。以上の解析から、酵素分解に抵抗性を示す分子構造を推定していく。 これまでの先行実験で、Variovorax. sp. C34株由来のデポリメラーゼは、コポリマー中の連鎖したLA-LA間のエステル結合を加水分解することを明らかにしている。今後予定している新しいコポリマー分解酵素のコポリマー分解性の際を明確にしていく。 本年度得られた乳酸分率の異なる乳酸コポリマーの館kと宇宙での分解性を評価する。各種コポリマーのソルベントキャストフィルムを作製し、河川水中などでの時間経過による分解性を重量減少を指標に評価するとともに、コポリマー表面の微生物相に関しても調査していく予定としている。
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Causes of Carryover |
次年度は、新規でポリマラーゼの探索と酵素精製、遺伝子解析に加え、各種乳酸分率の異なる乳酸コポリマーの大量調整を中心に予算を執行する。
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Research Products
(1 results)