2018 Fiscal Year Research-status Report
Binderless type geopolymer concrete with industrial wastes
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17K00628
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小泉 公志郎 日本大学, 理工学部, 准教授 (10312042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正己 日本大学, 理工学部, 准教授 (50580164)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フライアッシュ / ポゾラン反応 / ジオポリマー / シリカフューム / スラグ骨材 / 転炉スラグ / 加熱養生 |
Outline of Annual Research Achievements |
バインダーレス型ジオポリマーの創製を目指して昨年度からの研究を継続した。昨年度までの検討で,ポゾラン材料と称される材料である石炭灰(フライアッシュ)に対して同じくポゾラン材料であるシリカフュームを添加したペースト硬化体を試作したところ,加熱養生段階で大規模な膨張現象を示し,強度を有する硬化体を得ることができなかったことから,反応性の早い(ポゾラン活性の高い)シリカフュームの添加量を減じた系にて再度検討を行った。その結果,従来よりも膨張量は少ないものの硬化体の形成が困難であることが判明した。この原因として,活性の高いシリカフュームの反応性を単独で検討したところ,やはり加熱養生時における膨張現象が確認されたことから,主にこれが硬化体を初期に大膨張させる要因であることも分かった。ただし昨年度と同様,養生時に体積の膨張を抑制するために「完全密閉」した状況下で養生を実施すれば,セメントを用いた時ほどではないが,強度を有する硬化体を得ることは可能であることも分かった。以上のことからシリカを主要成分とする材料から硬化体を得るには,反応初期(特に加熱養生時点)において硬化体のマトリックス(骨格)を速やかに形成する何らかの材料の添加が必要であると判断した。本研究ではセメント及び水ガラスのような明らかにバインダー(結合材)として働く材料の添加を検討から外していることから,現実的には高炉水砕スラグのような材料の添加が望ましいと考えられる。 またその一方で,将来的に(バインダーレス型)コンクリート配合にて硬化体を作製する際に必要となる「骨材」の検討を別途実施した。こちらも産業系の副産物を有用再資源化する必要性から,転炉スラグや高炉徐冷スラグのような水和活性の低い(化学反応を起こさない川砂のような)材料について,その性質を検討しており,骨材としての可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中にフライアッシュとシリカフュームのみで構成される「ペースト硬化体」の最適配合を決定する見込みであったが,加熱養生時のシリカフュームのポゾラン反応は思いのほか早く,硬化体のマトリックスを形成する前に膨張が始まることから,強度を有する硬化体を得るに至らなかった。本年度はこのメカニズムの解明に時間を要したことが進捗状況の遅延の要因である。現在検討している配合でも,型枠中で完全に密閉されるのであれば硬化体を得ることが可能であるため,コンクリート二次製品等への適用は可能であると考えられるが,通常の大規模施行においては,養生初期の膨張は致命的である。本年度の検討結果において,その原因がシリカフュームの極めて高い活性にあることが判明した。このことから養生初期におけるマトリックス形成能を有する第3の材料の添加が必須であるとの結論に至った。 また,膨張因子を含む材料の配合においては,その体積増加分を骨材間に存在する空隙で相殺できる可能性が,別途,骨材における検討からの検討で新たな知見として得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度にあたり,現在までの進捗状況から判断して,「コンクリート配合」におけるジオポリマーコンクリートの評価まで完全に実施するには至らないことが予想される。ただし「モルタル配合」さらにその先の「コンクリート配合」に必要な「骨材」の検討は進んでいることから,今後の検討としては,①例えば高炉水砕スラグ微粉末を配合し初期の膨張を抑制できる「ペースト配合」の検討,さらに②骨材に転炉スラグをはじめとした有効活用に至っていない徐冷系スラグを配合した「モルタル配合」の硬化体の試製を重点的に検討する予定である。ただし骨材における検討から,骨材間に存在する空隙において,その膨張因子を相殺することができる(全体としては膨張を抑制できる)可能性も残されており,③フライアッシュ+シリカフュームのみ(高炉水砕スラグを使用しない系)において,骨材を用いた「モルタル硬化体」の理想的な材料配合の検討を別途実施予定である。
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Research Products
(6 results)