2018 Fiscal Year Research-status Report
Diffusion and persistency of the freshwater cyanotoxin in the marine ecosystem.
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17K00639
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
高橋 徹 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70369122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 孝幸 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (00746232)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミクロキスティス / ミクロシスチン / 一次純生産 / ミクロシスチン合成酵素 / ミクロシスチン分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、前年に比較して大規模なアオコの発生がみられた。そのため、調整池中央部の堆積物を採取して、二度目の分解実験を実施した。過去の分解実験では初期のミクロシスチン濃度が低かったため、高濃度から出発する分解再現実験が必要であった。試料は全て凍結保存しており、(1) ミクロシスチン(MCs)量 (2) MCs合成酵素DNA, 分解酵素DNA (3) 分解中間産物 の推移を把握するため、約3日おき、30日のサンプルを確保して、逐次解析を実施している。一方、アオコ非発生期の12月に13Cを用いた基礎生産測定をおこなった。今後、アオコ発生期にも同様の測定を実施し、シアノバクテリアによる基礎生産とMCs産生量の関係を推定したい。従来の研究で濃度と排水量から調整池からのMCs排出量が年間数十kgから数百kgにも達することが推定されていたが、ミクロキスティス属の基礎生産からの推定値とどの程度一致するか検討したい。室内実験の結果からは、温度とMCs分解速度の関係が明らかとなる。そのことにより、諌早湾・有明海に排出MCsの分解、残留、流失量の推定が可能になると考えられる。本研究の前段階の研究を含み、本研究につながる、以下のタイトルの論文をJournal of Oceanographyほかの国際誌に投稿中である(5月27日時点で未受理、審査中)①Mass transport of re-suspended cyanobacterial toxins (microcystins) on Isahaya Bay, Japan ②Using nutrient budgets to estimate microcystin production and sedimentation rates during a cyanobacterial bloom in Isahaya Bay, Japan
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一年前より髙橋に手の振戦が現れ、マイクロピペットを使った精密実験に支障が出るようになった。Lドーパ服用により実験は可能であるが、従来より二倍程度の時間がかかっている。ただ、今夏に手術を受ける予定であり、担当医によると振戦はほぼ解消されるとの事である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 昨年度実施した分解実験の試料分析をおこなう。項目は、ミクロシスチン量の推移、ミクロシスチン合成酵素DNA量、分解菌スフィンゴモナス属のミクロシスチン分解酵素DNAの推移等 (2) 13Cを用いた一次純生産の測定をおこなう.(3) これらに加え、投稿中論文の結果を総合して諌早湾を起点としたミクロシスチンの産生、分解、消滅過程を考察する。 (4) 室内分解実験と対比する参考調査として、野外底質サンプル中のミクロシスチン合成酵素DNA、分解酵素DNAの存在状況を調査する。同事に次世代シーケンサーによる微生物ファウナ解析も実施する。
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Causes of Carryover |
約5万円が残る結果をなったが、これは2回予定していた基礎生産調査を一回しか実施できなかったためである。この調査は今期のアオコ発生時に実施する。
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