2017 Fiscal Year Research-status Report
メタン発酵消化液のエリアンサスへの周年施用によるエネルギー利用型資源循環の構築
Project/Area Number |
17K00664
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大土井 克明 京都大学, 農学研究科, 助教 (90372557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠田 啓 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (90169988)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | エネルギー作物 / 資源循環 / メタン発酵 / 前処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年に定植したエリアンサスについて,7月下旬,8月中旬,9月上旬,10月中旬,11月下旬に収穫し,茎数,茎長,収量,乾物重を調査し,収穫後の土壌に施用量を5t/10a(5t追肥区),および10t/10a(10t追肥区)の2基準でメタン発酵消化液を施肥し,2回目の収量を12月下旬に調査した.1回目の収穫を8月中旬までに行った株については2回目の収穫が可能であったが,それ以降に1回目の収穫を行った株については収穫後の生育は認められなかった.7月下旬収穫の株については10t追肥区で1回目収穫の21.1%の収量(乾物)であったのに対し,5t追肥区では11.8%であった.8月中旬収穫の株については5t追肥区で10.6%,10t追肥区で8.4%であった.1回目の収穫が早く,2回目の生育期間が長ければ施用量を増量することが有効であることがわかった.また,トータルの収量(乾物)は10月中旬が最も多く,2回収穫したものは1回収穫のものより少ないことが明らかになった. エリアンサスを原料としたメタン発酵でのバイオガスポテンシャルを検討するために,バッチ試験を行った.エリアンサスの葉と茎では性状が大きく異なることからこれらを分離して投入した.バイオガスポテンシャルを測定する際は25日間程度でバイオガス発生量が頭打ちとなることから試験期間を25日に設定していたが,今回60日に設定したところ,葉を原料としたメタン発酵でガス発生が収束後に再び発生することがわかった. 前処理方法については熱アルカリ処理を検討し,最適条件を明らかにした.ガス発生量は未処理の約1.2倍となったが,これはバイオガスポテンシャルを測定した実験で2段階目に発生した難分解の基質が前処理により早期に分解したものと考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エリアンサスの栽培試験については研究協力者の協力により遂行することとしていたが,本研究採択前に一方的に協力を破棄されたため,当初の計画通りの頻度で行うことが困難となった.
|
Strategy for Future Research Activity |
エリアンサスの栽培試験については29年度の結果をもとに,試験を行う.エリアンサスの代替となるエネルギー作物としてソルゴーの栽培も29年度に検討したが,栽培を行う圃場までの距離が約30kmと離れていることから十分な管理が困難であった.平成30年度は近隣に圃場を確保したため,エリアンサスの栽培試験も並行して行う予定である. メタン発酵試験は平成29年度に確立した前処理方法を用いて,連続投入試験を行う. 当初の予定では,高温湿式のメタン発酵を想定していた.これは,京丹後市で運転中のメタン発酵プラントが消化液利用可能量に原料投入を制限しており,消化液利用が確立することで本来の負荷で運転可能になるという前提で研究を組み立てていたが,当該プラントが閉鎖されてしまい,高温湿式の種汚泥の入手が困難になったことから中温での実験に変更する予定である.
|
Causes of Carryover |
研究協力者の協力が得られなくなったため,京北の圃場でのサンプリング,分析等が計画通りに進まなかった.そのため一部を繰り越すことにした. 平成30年度は,従来の計画に加え大学近隣の圃場でのソルゴーの栽培試験を並行して行うため,繰り越した経費を使用する予定である.
|