2018 Fiscal Year Research-status Report
環境低負荷かつ低エネルギー化型のバイオエタノール生産プロセスの開発
Project/Area Number |
17K00669
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐々木 千鶴 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (50452652)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALCANTARA J.RAFAEL 京都大学, 工学研究科, 講師 (50709219)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | セルロース / 糖化 / バイオエタノール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リグノセルロース系バイオマスを原料としたバイオエタノール等の液体燃料を代表とする微生物発酵法を用いた有用化学物質の生産プロセスにおいて、コストとエネルギーを要する「前処理」「酵素糖化」および「(蒸留による)生産物の精製」の各ステップの環境低負荷かつ低エネルギー化を目指した技術の開発を目指している。具体的には、「前処理」と「酵素糖化」を融合した「1.糖化能を有する前処理(直接糖化)」と「2.リグノセルロース系バイオマス由来の未精製バイオエタノールの抽出蒸留による無水化」の効率化を主課題とする。今年度は、1.および2.の結果を得た。 1.セルロースモデル試料としてコットン製のタオルを原料として、硫酸水溶液に試料を含浸し、その後低温にてマイクロ波処理する方法により、原料当たり最大で30%が糖化されてグルコースが生産されることを見出した。マイクロ波処理の条件は、硫酸水溶液に含浸しない場合よりも緩和された条件でタオルが糖化されることがわかった。 2.バイオエタノールのモデルは、タケをアルカリ水熱処理したものを原料として酵母により発酵したものを用いた。これを用いた抽出蒸留を行い、三段階プロセスにより実施した。最初の段階では、エタノールを約2 vol%から53 vol%に濃縮した。 第二段階ではエタノールを約95.5 vol%まで濃縮し、さらに第三段階では共沸点(96 vol%)をなくすために、第三成分としてグリセリン溶剤を加えた。この際、99 vol%以上を濃縮することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タオルを原料とした新規な「直接糖化」条件を見出すことができたため。また、タケ由来のバイオエタノールを用いた蒸留実験にも着手し始めることができ、添加溶剤の効果も検証できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
直接糖化する対象試料をタオルからリグニンを含むリグノセルロース試料に置き換えて、これまで得られたマイクロ波処理による糖化条件を適応する。また、試料から直接糖化されてくるグルコース量のさらなる増大を目指した条件検討を引き続き探索する。さらに、バイオエタノールの抽出蒸留の際の添加溶媒としてグリセリンと塩を使用し、エタノール濃度を向上させる予定である。抽出蒸留装置で気液接触を推進するために改良を行い、循環型抽出蒸留装置を開発する。
|
Causes of Carryover |
計画していた当初の予定よりも消耗器具類や試薬類の節約が可能であったことと、他予算で賄うことができたものがあった。予算を最終年度のバイオエタノール精製のためのバイオエタノール大量生産および直接糖化のさらなる向上および研究のまとめに向けた開発費・研究発表旅費等に充てることとした。
|
Research Products
(4 results)