2019 Fiscal Year Research-status Report
環境配慮型製品の時間軸・空間軸・機能軸に関する多元最適化による環境負荷低減
Project/Area Number |
17K00671
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
奥村 進 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70204146)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境配慮型製品 / リマニュファクチャリング / リユース / 絶対劣化分布 / 相対劣化分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
使用済みの工業製品からリユース可能な部品を取り出し,それを新規に製造する工業製品に組み込む生産方式(リマニュファクチャリング,再製造)は,すべての部品を新規に製造して組み込む生産方式よりも環境負荷の低減が期待できる.本研究では,リユース部品の物理寿命分布(時間軸),エンドオブライフオプション(空間軸),およびメンテナンス(機能軸)の多元最適化を実施する.この研究によって,リマニュファクチャリングを効果的に行う上で不可欠である,環境配慮型製品の設計に関する新規的な指針を得ることができ,環境負荷のさらなる低減が期待される.今年度における研究実績の概要は次の通りである. 1.部品リユースを伴う製品を対象にしたリユース効率に関する確率モデルを導いた.リユースユニットには相対劣化と絶対劣化が発生し,それぞれの発生時刻は独立な確率分布に従うものとした.相対劣化分布関数,絶対劣化分布関数,相対劣化製品の回収率,および最大リユース回数を用いてリユース効率を表した.導いたリユース効率を利用した感度解析を行い,システムパラメータがリユース効率に及ぼす影響を定量評価した.また相対劣化製品の回収とリユースユニットの長寿命化に関するコストを考慮した,単位コストあたりのリユース効率最大化問題を扱い,相対劣化製品の回収率と最大リユース回数の最適解を得た. 2.リマニュファクチャリングと新規製造を併用した生産システムにおけるリマニュファクチャリング製品と新規製造品との在庫管理問題を扱った.製品は,発売からの経過時間に応じて導入段階,成長段階,成熟段階,衰退段階を経ることを想定した.製品の需要と使用済み製品の回収量の予測精度がトータルコストに及ぼす影響を製品ライフサイクルの各ステージにおいてどのような影響を及ぼすかをライフサイクルシミュレーションによって調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに進めた研究を基礎にして今年度の研究を進めたこともあり,概ね順調に進んでいると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果をもとに次の研究を行う. 1.リユース効率の数理モデルを利用して絶対劣化分布,相対劣化分布,最大リユース回数,および相対劣化製品回収率の最適化を考える. 2.絶対劣化分布の変更に伴うコスト,相対劣化製品回収率の改善に伴うコストを考慮した最適化問題を定式化し,最適解を得る. 3.リユース部品のメンテナンスに関する要素を取り入れ,メンテナンスによる機能回復とそれに伴うコストがリユース部品の最適絶対劣化分布に及ぼす影響を検討する.
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Causes of Carryover |
現有設備の本研究遂行における適否を見極めながら本年度の研究を進めた結果,物品費を節約できたため次年度使用額が生じた.計算機のハードウェアとソフトウェアの進歩を踏まえて適切なものを購入する予定である.
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