2018 Fiscal Year Research-status Report
医薬品情報の探索と活用を促進する情報デザインの開発と実験心理学的基礎研究
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17K00712
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小山 慎一 筑波大学, 芸術系, 教授 (40420913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医薬品情報デザイン / リスクコミュニケーション / 情報リテラシー / 消費者行動研究 / 実験心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では「研究1:模擬店舗におけるシミュレーション実験」,「研究2:実際の店舗における消費者行動観察」,および「研究3:光センサーとタブレット端末を用いた医薬品情報提供システムの試作と検証」を行なう予定である.今年度は研究1~3のすべてを平行して行った.研究1では一般消費者と薬学の専門知識を持つ消費者の医薬品選択行動を比較した.具体的には,研究室内に一般用医薬品の陳列棚を設置し,医薬品購入のシミュレーション実験を行った.携帯型の視線追跡装置を用いて視線データを収集し,陳列方法が消費者の情報探索に与える影響について詳細に検討するとともに,不安尺度・批判的思考尺度等の心理テストも同時に行い,性格・陳列方法・消費者行動の関係についても詳しく調べた.研究2では関東近辺のドラッグストアに勤務する薬剤師を対象にアンケート調査を行い,陳列方法に関連した利点および問題点の抽出を試みた.研究3ではタブレット端末を利用して,購買の自然な流れの中で医薬品情報を提供するシステムを構築し,消費者の情報収集行動に与える影響について検討した.研究1では一般消費者と薬学の専門知識を持つ消費者の間であまり大きな行動の差異は見られなかったものの,専門知識を持つ消費者の方が内容量を重視する傾向が強いことが示唆された.研究2では薬剤師と消費者では一般用医薬品に対するリスク評価が異なること(例:薬剤師は血液製剤のリスクを放射線治療よりも高く評価するが消費者は放射線治療のリスクを血液製剤よりも高く評価する)が示唆された.研究3では,タブレット端末に医薬品陳列棚を表示した場合と実際に陳列棚に医薬品を陳列した場合の消費者の行動に大きな差は見られず,タブレット端末を陳列棚の代わりに使用することによって店舗内のオープンスペースを拡げられる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに実験が進み、成果を報告することができた。また、研究結果に基づいて、従来の一般用医薬品陳列方法とは異なる新たな陳列方法を提案することにより、研究の有用性を高めることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究1~3を行うとともに,研究成果を国内外の学会で発表し,論文にまとめる.
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Causes of Carryover |
物品費および出張旅費が当初の見積りより若干安く済んだため,39,629円の残金が発生した。残金は次年度に繰り越し,物品費・旅費等に充当する予定である。
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