2017 Fiscal Year Research-status Report
協創促進手法「クルクルスケッチ」のプロセスのデジタル化とその応用に関する研究
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17K00722
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
福田 大年 札幌市立大学, デザイン学部, 講師 (50405700)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 参加型デザイン / アイデア生成 / スケッチプロセスの記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は研究計画に従い「クルクルスケッチ」のプロセスと発話の最適な記録と記述の方法の確立を,専門家へのヒアリング,機材の最適な組み合わせなどを模索し,ワークショップなどでの実践を基に検討を行った. 記録方法としては,アイデア生成ワークショップの参加者がスケッチを描く際の手の動きや音声など活動全体と作業者の手元を,時刻が同期された複数のビデオカメラで撮影することが基本となることを確認した.そして,デジタル情報端末と電子ペンを組み合わせでスケッチする場合は,描画プロセスが記録できるアプリケーションを使用することとした.紙とペンを組み合わせでスケッチする場合は,参加者に小型カメラを身につけてもらい,スケッチを見る視点で描画プロセスを記録することとした.これらの試行錯誤によって複数視点で記録する方法の最適な方法が分かった. 記録内容の確認は,まず参加者のスケッチの描く順番,他者のスケッチから受ける影響,他者のスケッチに与える影響などを,撮影した記録映像と描画プロセス映像をPCに転送し同期再生させて複数の視点で時間軸に沿って視聴することで複数視点で確認できることが分かった, 記述の方法としては,記録内容を確認しながら,参加者のスケッチの順番,その時の行為,発話などを,スキャンしてデータ化した参加者のスケッチ結果の上に,スケッチで使用した色と異なる色で,動画のタイムコード,文章,記号によって記述することで,スケッチのプロセスと結果を同時に把握することが確認できることが分かった. 以上の活動によって「クルクルスケッチ」のプロセスと発話の最適な記録と記述の方法の確立への道筋が見えたと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワークショップの記録と記述に関する記録機器,アプリケーションなどの進化や応用範囲は近年めまぐるしいものがあり,ワークショップの内容と記録機器の相性を試しながら,最適な組み合わせを模索する必要がある.そのため,平成29年度は,記録機器やアプリケーションを用いたワークショップの複数回実施はできなかったが,記録と記述の方法の試案,調整,試し,専門家へヒアリングが実施でき方向性は見出している. 特に,参加者の全体の行動を記録する機器として360度カメラを用い,各参加者のスケッチのプロセスを記録する機器としてアクションカメラを参加者に身につけてもらうことによって,ワークショップのプロセスに沿いながらも参加者の行動と描画が多視点で観察できることで,実施場所が限定されづらい記録方法となることが分かってきた. 記述方法は,各参加者のスケッチ結果に,記録結果から得られる情報,特に参加者のスケッチの順番,その時の行為,発話などを,動画のタイムコード,文章,記号によって記述することで,スケッチのプロセスと結果を同時に把握する方法が,専門家へのヒアリングからも好感触を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,29年度に確認できた記述方法と記録方法を用いたワークショップを複数回実施する.それには30年度に当初から予定していたワークショップの内容を盛り込んで進めていくこととする. ワークショップの内容は,デジタル情報端末を使った「プロセスの記録と再現」,「表現力向上」,「写真への描き込み」,「遠隔や複数人でのプロセス共有」をテーマにして検討する.それぞれのワークショップの記録を,プロと学生のプロセスの差を意識しながら,各参加者のスケッチ結果に,参加者自身の作業プロセスを記述する.そして,記述化されたプロセスと発話を「プロセスの記録と再現」,「表現力向上」,「写真への描き込み」,「遠隔や複数人でのプロセス共有」を意識して,半構造化インタビューを実施することで,道具のデジタル化によってクルクルスケッチ参加者の創造性と協調性に起こる変化と特徴を抽出して利点と課題点の把握を試みる.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,ワークショップの複数回実施ができなかったため,消耗品や謝礼にかかる費用に変更が生じたためである.次年度についてはワークショップを複数回実施予定であるため,当該使用額もその実施に関する消耗品や謝礼費用の一部に充てる予定である.
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