2023 Fiscal Year Annual Research Report
a study on hospital clothing (lower garments) design for bedridden patients based on anonymous design
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17K00726
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
藤井 尚子 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (30511977)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 病衣(下衣)設計 / kaidangku / アノニマスデザイン / ヘルスケアデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、臥床患者の療養生活で生じる種々の課題のうち、特に従来の病衣(下衣)構造に起因する、身体的・精神的負担の軽減に資する下衣デザインについて、既製服の構造を改善する考え方から離れ、既製服以前の衣服を手がかりに、着衣・脱衣しやすい機能と審美性を有する構造・形態を考案することを目指している。こうした既製服以前の衣服構造・形態を、本研究では「アノニマスデザイン」と定義し、アノニマスデザインと考えられる下衣として、種々の民族衣装や、日本の「野良着」にみる山袴などを民俗的な衣服などを想定した。そのなかから本研究の対象である臥床患者にふさわしい下衣として、筒状や前開き型の変形構造を持つ、中国古代より着用されていた袴の一種で、今日では中国の地方部の幼児に着用を見ることができる、いわゆる「股割れズボン」と呼ばれる下衣の原型である、「開襠■(■は示偏に庫)」に着目している。 本研究は、調査・分析、プロトタイプ試作、実装・検証という計画にあり、これまで中国での調査・分析、整理、論文執筆、国際会議での口頭発表を通して基礎研究を行っている。この基礎研究を元にサンプル制作をし、最終年度ではプロトタイプ3点を制作し、検証を試みた。それぞれの制作観点は以下のとおりである。 ・股部分を大きく開口することができ、また従来のパンツ型下衣の背面中央の縫製線のない構造 ・股マチがなく大きく開口できる構造 ・股マチがなく大きく開口でき、且つ陰部を覆うことが可能な巻きスカート状の構造 なお、検証については当初予定していた医療機関での実施はできず、模擬的な検証にとどまったが、しかしアノニマスデザインの知見を生かした今日的なデザインへの展開事例として一定の成果を得ることができた。
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