2020 Fiscal Year Research-status Report
映像デザイン学の構築に向けたプロジェクションマッピングの事例調査と統計解析
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17K00738
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
杉森 順子 桜美林大学, 芸術文化学群, 教授 (00559891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 俊也 愛知工科大学, 工学部, 教授(移行) (50631248)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロジェクションマッピング / 映像デザイン / メディアデザイン / 統計解析 / コンテンツ / 事例調査 / 映像制作 / イベント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまで学術的な調査研究が行われていなかったプロジェクションマッピングの事例調査を行い、作品のデータベースを作成する。そのデータから項目の統計的解析を行い、定量的に評価する分析手法を構築する。また、統計解析と制作における定性評価を融合する新たな映像研究手法を示すことで、「映像デザイン学」の提案を目指している。 研究では、データベース作成のため、制作企業や団体13社の文献資料やウェブサイトなどから事例調査を行ってきた。映画とは異なり、プロジェクションマッピングは、エンドロールやパンフレットなどで、制作者や実施状況などを記録する慣習や共通ルールが無いことから、不明確な情報が非常に多い。そのため本年度は、これまで収集した制作事例のデータを精査すると共に、さらに多角的に資料を集めて、可能な限りデータベースの更新を行った。 また、新型コロナウィルス感染拡大により、プロジェクションマッピング上映イベントの中止が相次ぎ、予定していた現地での撮影や実施状況の取材が困難となった。そのため、研究計画を一部変更して、新たに新聞記事を中心にデータ収集を行った。予期せぬ変更ではあったが、この調査を加えたことで制作側の情報に、社会からの興味やニーズを重層するという新たな研究視点や知見を得ることができた。 同時にプロジェクションマッピングは、制作から上映まで映像機器が欠かせないコンテンツである。コンピュータ、プロジェクタ、ソフトウェア等も変化著しいため関連技術や映像コンテンツ、広告業界などの関連する動向調査も継続して行った。さらに、今年度は、プロジェクションマッピングについてメーカー、制作会社などの企業や研究者から数多くの問い合わせを受けたためこれまでの研究成果や知見を提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、緊急事態宣言の発令や移動制限が生じ、研究対象となるプロジェクションマッピングの上映イベントは、国内各地で中止や延期が相次いだ。そのため、当初の研究計画での現場での実施状況の撮影やインタビュー取材が行えず、計画に遅れが生じた。また研究代表者の所属機関の事情により研究環境が整わず、進捗に影響が出ている。 これまでの研究成果についてはすでに海外の論文誌に投稿を完了させており、現時点で査読中の状況である。また映像コンテンツ制作を実践した事例を学会で示し、制作フローや生じる問題点を明らかにした。研究で得た知見や情報を複合的に活かし映像デザインの研究手法例として示すことで、今後の映像デザイン学の構築につなげていく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では、研究調査のひとつとして、プロジェクションマッピングの実施場所に赴いて、現地調査や記録撮影を行う予定で進めていた。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により、取材対象であるプロジェクションマッピングの上映イベント自体の中止が相次いでいる。リスク回避の観点から、対面取材も容易ではない状況である。 そのため、次年度は研究計画を一部変更してプロジェクションマッピングについて新聞記事等の追加調査を重点的に行う。実施状況の撮影や取材については、今後の社会動向を注視しながら状況に応じて柔軟に対応する研究体制を取ることとする。 追加調査では作成した事例データベースをアップデートすると共に、分析を主軸に研究を進めていく。調査項目の相互の関係を明らかにするために、「上映場所」「時期」に、熟練した評価者によって主観的なラベリングを行い数値化する。このラベリングによる定量的なデータに対して、主成分分析や重回帰分析、クラスター分析など統計解析を行う。 また、これまでも研究で得た情報や知識は、学会や研究会などで積極的に公開してきたが、学術の場だけにとらわれず産業界や一般にも情報提供を行うことを押し進め、より広く研究成果を社会に伝えていくことを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、取材対象であるプロジェクションマッピングの上映イベントの中止が相次ぎ制作現場の取材撮影が行えず、研究計画の大幅な見直しが必要となった。そのため、使用額に変更が生じている。 今後感染状況の変化によっては、上映イベントの実施や公開方法が変化する可能性があるため、機材や取材準備も平行して進めつつ、社会の動向を注視しながら状況に応じて柔軟な体制で研究を進めることとする。
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Research Products
(6 results)