2019 Fiscal Year Annual Research Report
Formulation of Curve Segments Composing Japanese Landscapes
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17K00741
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 利友 武庫川女子大学, 建築学部, 教授 (10388803)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 主成分分析 / 変曲点 / 可積分離散化 / 弾性曲線 / 平均値の定理 / 相似 / 竹編み / 写真測量 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本独自の景観を構成し、美しいと評価されてきた曲線セグメントのうち、まず桟瓦を研究対象とした。具体的には、大阪府内の住宅で実際に使用されていた手づくりの桟瓦を、3Dスキャナを用いて計測し、各瓦の頭にある上下2本の出隅をキーラインとして抽出した。これに主成分分析による平面あてはめと座標変換を施し、平面図形に変換した。その後、等辺開多角形近似による等間隔の点列への置換と、大局的な変曲点の推定を行った。 これに続き最終年度は、各キーラインの点列を変曲点の両側に分け、可積分離散化を行ったEularの弾性曲線を用いた定式化の検討に着手した。桟瓦の下側のキーライン37本の、変曲点より右側(谷側)について近似を試みた結果、大半(35本)のキーラインは、ばらつきが極めて小さい離散弾性曲線に近似できることを明らかにした。一方、変曲点の推定における誤差が、この近似の精度に影響を与えている可能性が示唆された。 この誤差の要因となっている可能性がある、桟瓦がもつ局所的な凹凸の影響の排除を目指し、平均値の定理を示すグラフにおける曲線と接線の接点と、曲線の変曲点の関係について考察した。その結果、変曲点をはさんで互いに相似であれば、変曲点の位置が求まることから、変曲点をはさんで互いに相似でない曲線も、変曲点の近傍の区間で相似な曲線に近似できれば、変曲点が推定可能との結論を得た。 さらに、竹編みと丸子船を対象とした研究も行った。竹編みに関しては、竹編みにより生成可能な曲面が、平面曲線からなる梁によって構築できることを示した上で、竹編みの技法を用いた建築模型の制作による新たな建築設計手法を明らかにした。丸子船に関しては、写真測量を行いメッシュデータを作成した上で、それをもとにCAD上で短手方向の断面を作成すること等により、建築設計に活用可能な3Dモデルを得る手法を明らかにするとともに、これによる建築設計も試みた。
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