2017 Fiscal Year Research-status Report
家計相談支援員の専門性育成のための研修制度の確立―家計相談事例の分析を通して―
Project/Area Number |
17K00748
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
赤塚 朋子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (40174247)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 純 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (20322456)
鄭 暁静 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30774632)
大竹 美登利 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (40073564)
工藤 由貴子 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (50331468)
宮本 みち子 放送大学, 教養学部, 教授 (60110277)
堀越 栄子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70060720)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 家計相談支援 / 生活支援 / 研修制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
家計相談支援事業の現状分析と課題抽出から、生活困窮者の自立に向けた家計を中心とした生活支援の在り方を明らかにするなど、“家計相談支援員の専門性育成のための研修制度”の構築について提言することを目的としている。 家計相談支援の先駆的実践を行っている研究協力者が蓄積している家計相談内容を資料として収集・分析・課題抽出を行う予定であったが、厚生労働省管轄事業のため個人情報保護の観点から統計的な資料のみの提示のもと、収集・分析・課題抽出を行うこととなった。家計相談支援員へのインタビュー調査・分析・課題抽出を行うことについては、G相談室の生活再生相談事業のうち、家計相談を対象として、熊本(9月7-8日)・福岡(9月12日)・大分(9月12-13日)・北九州(9月14日)の各相談室において計14人にインタビュー調査を実施し、分析・課題抽出を行った。 補完的なインタビュー調査として、高知県で開催された第4回生活困窮者自立支援全国研究交流大会(11月11日-12日)の分科会9(家計相談支援)に研究協力者が参加し、そのときのパネラーであったCの協力で川崎・横浜・墨田・江戸川・目黒・港(3月)の各支店で計7人に行うことができた。 インタビュー調査では、どのような研修を受けてきたか、その研修の中で相談の中で役立ったものは何か、より必要とされる研修内容はどのようなものであるかなどを中心に行った。 厚生労働省などの研修機会を利用するとともに、最初は経験者と一緒に相談業務を体験しながら、徐々に支援員としての力をつけていっていること、月1回、週1回等に適宜研修会や振り返りの機会があること、支援員への相談や指導・助言がいつでもできるスーパーバイザーの存在が大きいこと、支援の基本に当事者の生活に寄り添い伴走するという人権意識があることなど、今後の研修制度を確立するうえでの示唆を得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画では、家計相談支援は、多重債務対策をはじめとする相談者の生活再生に取り組むグリーンコープ生活再生相談室の取組みモデル創始者である行岡みち子氏を研究協力者に迎え、平成18(2006)年から蓄積している家計相談内容の膨大な資料を収集し、資料の分析・課題抽出を行うこととなっていたが、個人情報との関係から統計的な分析にとどまることとなった。 現在活躍している家計相談員へのインタビュー調査・分析・課題抽出を行う件については、研究資料の拠点は、福岡県福岡市にあるので、東京と福岡を往復しながら、研究協力者と連携をとりながら計画の目的を遂行した。家計相談員へのインタビュー調査は、福岡、熊本、大分、北九州の各地区で行うことができた。特に、研修のことを中心に現在の活動内容など10項目にわたって行った。申請者所属の「ヒトを対象とする研究倫理審査委員会」での承認を得た上で実施し、ICレコーダーでの録音のテープ起こしも行った。これらにより、生活困窮者の自立に向けた家計を中心とした生活支援の在り方を明らかにするための研修制度の確立に向けた示唆を得た。 また、補完的なインタビュー調査として、高知県で開催された第4回生活困窮者自立支援全国研究交流大会(11月11日-12日)の分科会9(家計相談支援)に研究協力者が参加し、そのときのパネラーであった中高年事業団やまて企業組合の協力で川崎・横浜・墨田・江戸川・目黒・港(3月)の各支店で計7人に行うことができた。 家計相談受託事業の実態も知ることとなり、今後の研究への示唆を得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画では、海外における先駆的取り組みから示唆を得るため、韓国、フランスに赴き、特に研修内容・方法・研修のあり方を重点に、専門的な知識提供を受け、専門性を持った人材育成の課題を明らかにする。 韓国 : 韓国の家族支援センターのあるソウルを中心とする。行政の活動、生活基盤にかかわる統計、相談員の養成方法や専門家としての位置づけ・活動など総合的な把握を行う。4日間の日程で、9 月に赤塚朋子、堀越栄子、大竹美登利、工藤由貴子、鄭暁静のメンバーで調査訪問する。特に、韓国出身の鄭暁静が計画の中心となる。 フランス : CESF(社会家政相談員)を管轄する担当省が位置する地域パリを中心とする。行政の活動、生活基盤にかかわる統計、相談員の養成方法や専門家としての位置づけ・活動など総合的な把握を行う。4日間の日程で、11月に赤塚朋子、工藤由貴子、伊藤純、鄭暁静のメンバーで調査訪問する。研究協力者の松村祥子氏(放送大学名誉教授)に専門的な知識の提供を受けながら、現地在住の方にコーディネートしてもらい、養成の在り方を追究する。 最終年度には、平成29・30年度の研究結果をもとに、課題解決に基づき、家計相談支援員の専門性を高める研修内容作成・研修モデル実施・修正・完成を目指す。
|
Causes of Carryover |
当該年度に予定していた研究協力者が蓄積している家計相談内容のデータ化のための人件費が使用できなかったことと、東京-福岡間の往復回数がメール会議等で節約できたことが要因である。 次年度に韓国調査とフランス調査を予定しているため、その費用に合わせて使用する計画である。
|