2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の発意・主導による越境まちづくり活動とその支援の研究
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17K00752
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10293888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 伸一郎 日本大学, 生産工学部, 教授 (30314230)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / 越境まちづくり / ボランティア / 公共施設等総合管理計画 / 介護予防・日常生活総合支援事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
17年度 (1)高齢者の越境まちづくり活動のアンケート、(2)自居住地の小学校区外での越境まちづくり活動を精力的にする高齢者の4年間の活動記録の分析を完了した。(1)活動種類、時間帯・時間数、作業手伝人数等でクラスター分析し、220件の活動を4群に分類した。最多の群は平日に月1回、午後のみで3-5時間の活動を11-20人の人数で、70・80代のみの手伝いが最多の活動であった。また1つ目の活動の1回当りの活動時間数2-3時間、時間数不定の場合、活動の種類は高齢者居場所づくり、広域系等の活動で2回目の活動に繋がることを明らかにした(判別分析)。(2)自宅での活動は資料作成・確認69%、自宅外ではイベントや高齢者の居場所づくりやまちづくり活動の当日運営34%、その検討・打合せが31 %と多い。活動場所は行政指定管理施設23%が多く、役所は当初多いが徐々に減ることを明らかにした。 また全国計814市区にアンケート調査をした。小学校区を越えた活動団体を市が受入れる素地を、(3)活動場所としての自治会館等の利用フレーム (公共施設等総合管理)、(4)福祉部局の活動支援の姿勢から明らかにした。(3) ①高齢者居場所づくり②子ども食堂③小中学生学習支援の小学校区内での立地数、サービス利用者・活動代表者・運営補助者の居住地の範囲から市区をクラスター分析で4群に分けた。最大の群では①校区内複数②複数校区1つ③校区に1つの立地で、サービス利用者・活動代表者は区域外市内居住可、運営補助者は市外居住可となった。(4)訪問・通所支援における要介護・支援の利用者毎に、日常生活支援総合事業の①支援レベル②担い手③費用方針④住民有志ボランティアの現状からクラスター分析して市区を4群に分けた。各群は④で異なり、①-③は大半で従来の基準や運用方法が踏襲され、独自の方針の市区が少ないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
18年実施の調査データを日本大学側で分析続行する。19年度は新たに、小学校区外からのまちづくり活動支援を、地域の公的団体(社会福祉協議会など)が受け入れる素地があるかを当該団体に調査予定である。これを京都大学側で分担予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
18年度に得たアンケートデータの追加分析を終了させる。これと並行して以下の学区単位の地域団体調査を実施する。 当初申請時の計画では19年度は、①越境まちづくりをする高齢者に、まちづくりを進める上での行政との折衝の機会、できなくなったことや代替案等を問うアンケート②後期高齢期の居住継続支援に必要となることを独居高齢者、夫婦のみ高齢者に問うアンケートを計画していた。これを変更し、①②を取りまとめて、地域の高齢者の居住継続支援の活動として、越境まちづくり高齢者の活動団体や個人の受入れの素地を当該自治会や社会福祉協議会等の地域団体に問うものに変更する。これは、17年度の元気な高齢者を対象とした越境まちづくりアンケートでも回答に負担があったことから予測し、②への回答が高齢者自身にとって大きな負担となり、十分な回答を得ること自体が難しいと予想されると17年度調査後に方向修正の必要性に思い至ったこと、また、越境まちづくりがその開始、継続で課題となるのが、「地域住民・団体からどのように受け入れられているか」であることが、申請者のこの2年のこのまちづくりへの関与で明らかとなったための方針転換である。特にまちづくりの中でも保健行政の中で担えなくなってきた高齢者の日常生活支援に的を絞る。これを地域内に閉じた団体、地域住民だけで担うことが難しいなか、越境まちづくり高齢者の団体等が居住地から少し広域の範囲を負担することで補えないかとの仮説からである。これは、居住地域の小学校区内等に閉じた範囲の中での負担による自立生活支援が、支援を受ける方、する方にとって、顔見知りの知人からの支援となるために少なからずの抵抗感があるため支援が進まない現状があるとの申請者の、この関係の支援の現場での新たな認識を基にしている。この学区を超えた越境支援の相互交換を見据えた、地域の高齢者の居住継続支援についての調査とする。
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Causes of Carryover |
18年度全国計814市区に、小学校区を越えた活動を前提とした団体を市が受入れる素地を、公共施設等総合管理計画部局、介護予防・日常生活総合支援事業所管部局へのアンケートで調査した。当初は前者のアンケートを、上記ではなく、市営施設を管理する各部局へ横断する形で全部局への対象としたアンケートを想定していたが、各部局への横断の形でのアンケート設計が困難であったこと、また一方で、地域に密着する形でのまちづくりには後期高齢者を対象とする日常生活支援が重要であるとの認識に立てば、地域密着で使用できる自治会館や公民館という今最も削減の矢面に立つ施設を対象とするべきであるとの発想に至るまで、関係者へのヒアリングを数多く続けたため時間がかかった。このためアンケート設計に想定外の時間がかかり、行政への発送が遅れ、同時に回収にも時間がかかったため、分析に遅れが生じたため経費の次年度使用が生じた。この分析には、19年度、市区の人口分布や高齢化率等のデータを追加で整備し、これらとの関連性や地域性についても検証を行う計画であり、追加データの整備作業への学生謝金への使用を予定している。
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