2017 Fiscal Year Research-status Report
育児と仕事を両立する保育士の母親としての葛藤調整とキャリア形成に関する研究
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17K00754
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片山 美香 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (00320052)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 保育士 / 私的な子育て / 仕事と家庭の両立 / キャリア形成 / 離職 / ワーク・ライフ・バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、育児と仕事を両立しながら就業継続を実現している現役保育士が、母親として生じる葛藤をどのように調整しながらキャリア形成を遂げていくプロセスモデルを構築し、母親役割を尊重した育児と仕事の両立支援の方策を得ることである。今年度は,この最終目的に向けた4年間の研究における初年度であった。 まず,私的な子育てをめぐる雇用条件や職場の状況といった環境要因,保育者の私的な子育てに対する認識という個人の内的要因の両面から,保育士にとっての私的な子育てをめぐる現況について把握するため,既存の研究内容を整理した。また,近年の女性医師の増加に伴い,新たな就労環境の整備が急務の課題となっている,女性医師の仕事と家庭の両立に関する取組の文献についても検討を加え,保育者をめぐる状況との比較検討を試みた。 その結果,両立にあたっては,多様な働き方改革の制度が各自治体において創出されていること,それらを活用すれば,子育て期にある保育者が離職しなくても,一定期間,仕事よりも家庭生活・子育てを重点化した生き方を実現できる可能性が拓かれてきていることが明らかになった。しかしながら,このような両立制度は,保育者の職務の対象となる子育て期の保護者にとっては利用可能,かつ有用であっても,保育者個人においては,現場の人材不足ゆえに,まさに絵に描いた餅,形骸化した制度であり,依然,両立困難は避けられず,離職に至ることが推察された。しかし一方で,両立の困難に対処する中で保育の専門性の力量向上を認識することも確認された。また,これまで,子育てとの両立で最も大変な時期は,子どもの就学までと捉えられがちであったが,引き続きそれ以降の発達期も時間とエネルギーを要することが示され,保育士の私的な子育てにおける,さらなる検討課題として見出された。 なお,当研究の成果は,所属大学の紀要に投稿,掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,妊娠・出産期にある保育士当事者に協力を依頼し,面接調査を行う予定であったが,今年度は対象を選出することができなかったため。次年度に向けて,研究協力者を得る予定である。 そのため,今年度は,保育者の私的な子育てをめぐる,既存の研究成果の概観と,専門職に従事する女性の子育て,仕事との両立の実態,両立上の課題について文献研究を行った。ここで得られた知見は,次年度以降の,子育て期にある保育士の面接調査の内容の精選に有用であることから,面接調査実施に向けた準備は概ね遂行できたと考える,また,文献研究の成果は,所属大学の紀要に投稿,掲載可となった。 以上のことから,当初計画からは「やや遅れている」が,次年度以降の計画の実施に向けては,「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、妊娠・出産期,育児休業期,復職前後期,育児期にある保育士に依頼し,縦断的に面接調査によるデータを収集する。よって,早急に該当する時期にある,保育士に協力を仰ぎ,データの収集・整理・分析を急ぐこととなる。研究対象者の選出は切迫した課題であるが,研究計画や方針の大きな変更はない。 順次、諸分野の研究者や保育実践者に助言を仰ぎながら,今年度に引き続き、研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 面接調査を実施できなかったために,その調査に関わる費用として計上していた旅費,データ収集及び整理に伴う謝金が未使用となったため,次年度使用額が生じている。 (使用計画) 本研究は,研究代表者による単独研究ながら,学外者(保育士等)の協力を得て調査への協力者を募ると共に,調査協力への時間的配慮等,調査への協力が負担となり過ぎないよう,最大の配慮をしながら,取り組む必要がある。そのため,「旅費」や,面接データの整理にかかる「研究補助費」や「文房具費」,調査内容の郵送にかかる「通信費」「印刷費」等,研究活動の円滑な推進のための経費を引き続き計上している。ここに,今年度,未実施の調査の実施に際して,計画的に使用を進めて行きたいと考えている。
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Research Products
(1 results)