2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症とともに「老いを生きる」高齢者の尊厳とQOLを保障する在宅ケアモデルの構築
Project/Area Number |
17K00755
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沖中 由美 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (50310892)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / 高齢者 / 尊厳 / QOL / 在宅ケア / 老い / 希望 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地域で暮らす高齢者のQOLを支える在宅ケアモデルの構築を目指し,認知症高齢者が人生経験を通してどのような老いの生き方・暮らし方を望んでいるのか,さらに家族やケア提供者が,認知症高齢者の望む老いの生き方・暮らし方をどのようにとらえ,どのような支援をしているのかを明らかにすることを目的としている。そのうえで,認知症高齢者が人生の最後まで望む老いの生き方・暮らし方を可能にする在宅ケアモデルを構築し,ケア提供者による支援のあり方を検討する。 本年度は,認知症と診断された高齢者とその家族およびケア提供者12組に対して,認知症高齢者本人がどのような望む老いの生き方・暮らし方をいだいているのかといった認識と,その家族とケア提供者がどのように認知症高齢者の望む生き方・暮らし方をとらえているのかという視点に立って実施した面接調査の結果を分析した。また,面接調査により得られた結果の真実性と分析の妥当性を確保するために,在宅で暮らしている認知症高齢者にケアを提供している介護支援専門員と訪問看護師,認知症ケアの専門家である認知症看護認定看護師とともに分析結果について検討した。さらに,在宅で生活している認知症高齢者の望む生き方・暮らし方を支えるために日常的に実践しているケアに活用できる指標の作成に向けて検討を行った。 本研究の成果は,認知機能が低下し,自分の思いを言葉で語ることが難しくなる認知症高齢者の望みを引き出し,支え,意思決定を支援しながらQOLを保障するケアのあり方を検討するうえで非常に重要な示唆を得ることができる点で意義深いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画に基づいて,認知症と診断された高齢者とその家族および担当のケア提供者に対し,認知症高齢者の望む老いの生き方・暮らし方への認識とケアについて面接調査を実施し,その分析結果に基づいてケア指標の検討を行った。当初の計画では,2018年度までに面接調査を実施し,分析を終了する予定であったが,対象者の選定と協力依頼に想定以上の時間を要したため,本年度は前年度に引き続き,面接調査により得られた結果の分析作業を行った。また,面接調査の分析結果に基づいて実施する予定である質問紙調査に係る研究計画書を作成し,所属大学の研究倫理審査委員会による承認を得た。次年度は,本年度に実施する予定であった質問紙調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでに実施した面接調査に基づいて作成した質問紙調査票を用いて,介護保険事業所に勤務するケア提供者を対象に質問紙調査を実施する予定である。また,質問紙調査の結果を分析し,その分析結果に基づいて,認知症高齢者が人生の最後まで望む老いの生き方・暮らし方を可能にするケア提供者による支援のあり方を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では,本年度に質問紙調査を実施する予定であったが,質問紙調査票を作成するために基盤となる面接調査の結果を分析するまでに想定以上の時間を要した。そのため,質問紙調査の実施が次年度に移行されることになった。 本年度実施予定であった質問紙調査を次年度に実施する計画であり,質問紙調査に係る費用が次年度に必要になる。また,分析の妥当性を確保するために認知症ケアや統計学の専門家に意見を求めるとともに,国内外の学術集会への参加や論文発表を通して,随時,調査結果を報告し,研究成果をまとめて報告書を作成する。
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Research Products
(3 results)