2017 Fiscal Year Research-status Report
乳児の哺乳状況改善因子の検索~母親の授乳方法と乳房管理と乳児の口腔発達から
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17K00761
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
廣瀬 潤子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (40381917)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 授乳 / ポジショニング / 乳児 / 口腔ケア / 主観的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳状況の調査は、母乳育児支援助産院に通院中の授乳婦で、母乳育児実施中の85名を調査対象者として実施した。調査対象者は平均年齢33.3±4.8歳、調査時BMI20.6±2.8、であった。授乳中の児は調査時月齢3.5±3.0か月、第1子56.5%、第2子34.1%、第3子以上9.4%で、母乳栄養70.6%、平均授乳回数は9.3±2.5回/日であった。主観的授乳状況は、授乳が困難だと思うことがある割合は15.3%、やや・とても負担である割合は36.5%で負担の理由は様々であった。授乳時の抱き方は、2種類の抱き方を併用する母親が約半数で、横抱き水平、横抱き(45度)、フットボール抱きの順であった。実施している抱き方を知った理由として病院・助産院での指導が9割を占めており、抱き方を継続した理由としてどの抱き方も「楽だから」が最も多く、フットボール抱きは乳房トラブルのために実施している割合が高かった。産院などでの授乳指導が授乳スタイルの決定要因として大きいと考えられる。 乳児の口腔ケアに関する実態調査では、母乳育児支援助産院に通院中の授乳中の母子86組である。調査時の児の月齢は8.33±4.8か月、調査時の乳汁栄養は母乳のみ83.5%、混合栄養16.5%であった。児の歯磨きの状況は、歯が生えていても歯磨きなしの割合が22.2%、月齢10か月以降に歯磨き有の割合が高まった。離乳食の回数が増えても歯磨きの回数は1.3回/日で、歯磨きのタイミングは就寝前が最も多かった。歯科に関する情報の入手状況では、約半数が歯科に関する情報を持っておらず、月齢が小さいほど情報を持っていなかった。児の口腔状況で心配なことは、歯並び(31%)、ケア(29%)である。歯が生えている場合の歯磨きは情報を持っている場合に歯磨きをしていた。 上記研究は、公立大学法人滋賀県立大学倫理審査の承認を受け実施した(578号)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授乳の困難感や不満感を解消するために、授乳について母子の状況を多角的に明らかにすることを目的に実施した。本年度は、授乳時のポジショニング(抱き方)および乳児の口腔状況を助産師、歯科医師の協力を得て、のべ171組の母子の調査を実施した。 授乳の困難感を明らかにするために、授乳時のポジショニング(抱き方)の実態調査と母親の主観的授乳状況調査を実施し、現状と困難感の現れる状況についてのデータが得られた。困難感が高まる要素と母親の身体状況が明らかにでき、授乳ケアに関わる専門スタッフの対応が重要であることが判明し、次の課題となった。 また、口腔状況については、歯科医師による観察と口腔のケア状況の調査を実施した。口腔状況の観察は、月齢によって大きく変化するため、さらなる対象者の調査拡大が必要である。しかしながら、口腔ケア状況調査では、口腔ケアについての指導の方法についての課題も浮き彫りとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
授乳が困難になる要因について、さらに対象者数を増加させて実施する。母親自身が授乳での困難感について、どのように思っているのかなど、困難要因をさらに絞り込んでいく予定である。上記の内容については、すでに共同研究先との打ち合わせを終え、実施のめどが立っている。 また、乳児の歯の状況については、昨年度に共同していただいた歯科医師に加え、新たに1名の歯科医師からの助言を得ている状況である。乳幼児期の口腔ケアについての研究の着眼点について、新たな視点を得られる状況にある。新たに視点をテーマにして、乳児の口腔状況の調査についても、さらに拡大して実施する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の対象者数がやや少なかったため次年度使用額が発生した。2018年度には対象者の拡大を図るとともに、当該研究課題において学会発表を2つ予定しているため、当初計画より旅費がかかる可能性が高い。
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