2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Life Science on Allomothering Care using Intergeneration
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17K00763
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中井 孝章 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20207707)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アロマザリング育児 / アロマザー / マザリング / グランドマザリング仮説 / 小規模コミュニティ / 乳児院 / 育児年齢の分水嶺 / メタ身体論 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の理論的成果に基づいて、アロマザリング育児について3歳未満の乳幼児と3歳以上の幼児の2つに大きく分け、各々についてフィールドワーク研究を実施してきた。前者については、乳児院でのフィールドワークをもとに、この施設での担当保育士(アロマザー)による育児と家庭での母親(マザー)による育児との根本的な差異を比較分析するとともに、後者については、小規模コミュニティでの高齢者をはじめとする地域の人たち(アロマザー)による育児と家庭での母親(マザー)による育児との根本的な差異を比較分析してきた。 これまで、研究代表者によるアロマザリング育児の研究は、主に就学前後の子どもというように、年齢・発達画期を設けずに行ってきたが、内外の文献を通してアロマザリング育児を行う動物が極めて少ないこと(人間も例外ではないこと)、そして、アロマザリング育児がマザリングをベースにして初めて意味のある育児になることを認識することにより、3歳未満の子どもを分水嶺とすべきことを見出した。その結果、特に、3歳未満の乳幼児の育児については、研究代表者がメタ身体論(規範形成論)の立場から、「過程身体から規範身体への円滑な発達移行」の促進媒体としてマザリングが不可欠であり、こうしたマザリングが十全になされるためのサポート・ケアとして父親・祖父母・保育士のアロマザリング育児が必要であることが判明した。これに対して、3歳以上の幼児の育児については、個々の子どもの個性(親からすると、反抗や口ごたえなど)を伸張する上で、個々の子どもと波長の合ったアロマザーが不可欠であることが判明した。その意味で小規模コミュニティは、多くの個性を有する人的資源の宝庫であり、K.ホークスのアロマザリング仮説からしても、とりわけ、世代間交流の推進役である民生委員・主任児童委員はグランドマザー(アロマザー)としてうってつけであることが再確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アロマザリング育児研究に整合性を持たせるために設定した対象児の年齢・発達画期が功を奏し、それに準じたアロマザーに関するフィールドワーク研究もおおむね、順調に進展している。今年度は、頂いた予算を使って情報処理機器を購入し、より一層、フィールドワーク研究などを効率的に研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
アロマザリング育児の研究については、3歳未満の乳幼児と3歳以上の幼児(実際は、就学直前および直後の子ども)を分水嶺としたことで、研究がより進展したことから、この研究方針にしたがって、研究最終年度に当たる今年度は、乳児院でのフィールドワーク研究を通してアロマザーとしての担当保育士と乳幼児のかかわりを観察・研究することを継続するとともに、これまで世代間交流という形でかかわってきた小規模コミュニティでの高齢者(アロマザー)と就学直前および直後の子どもとのかかわりを観察・研究およびインタビュー研究していく予定である。前述したように、年齢・発達画期の分水嶺を設けることで、アロマザリング育児についての研究方針が確立したことから、研究成果は期待することができると確信している。特に、研究計画の変更・修正等はない。
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Causes of Carryover |
次年度の使用額が生じた理由とは、アロマザリング育児研究において当初、立てた仮説を内外の文献を通して精査することにかなりの時間をかけたこと(ただし、研究計画や研究方針の変更ということでない)による。使用計画としては、2箇所でのフィールドワーク研究をより効率的に進めるために、情報処理機器を購入する。
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Research Products
(3 results)