2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Life Science on Allomothering Care using Intergeneration
Project/Area Number |
17K00763
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中井 孝章 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20207707)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マザリング / アロマザリング / 過程身体 / 規範身体 / 共同保育 / 世代間交流 / 幼老統合ケア / 社会的祖母 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度に引き続き、アロマザリング育児について3歳未満の乳幼児と3歳以上の幼児の二つに大きく分け、各々についてフィールドワーク研究を実施してきた。今年度も、前者については、乳児院および認定子ども園でのフィールドワークをもとに、この施設での担当保育士(アロマザー)による育児と、一般家庭での母親(マザー)による育児との根本的な差異を比較分析してきた。 主な知見は、昨年度のデータを補充する形となるが、家庭育児とは異なり、アロマザーの場合、共同生活という状況での育児となることから、次のような問題が発生する。 ①アロマザーが勤務形態や関与形態の影響で特定の乳幼児にかかわる時間が制限されること、②共同生活の規則の影響で特定の乳幼児の欲求にそぐわない育児をしなければならないこと、③共同生活を円滑にするために、特定の乳幼児に対してかなり小さい頃から集団的な規範を押しつけなければならないこと、である。 裏を返せば、一般家庭の母親または特定の養育者の場合、育児仕方に多少の問題があったとしても(虐待やネグレクトは例外として)、アロマザーのような問題点は発生しない。総じて、昨年度の研究成果でも述べたように、マザーの場合、乳幼児が「過程身体から規範身体への円滑な発達移行」を促進する媒体となり得るのである。少なくとも、3歳未満の乳幼児の育児は、「過程身体から規範身体への円滑な発達移行」の促進媒体としてマザリングが不可欠であり、父親・祖父母・保育士等々のアロマザーは、マザリングの支援者にとどまるのだ。これに対して、3歳以上の幼児の育児については、個々の子どもの個性(親からすると、反抗や口ごたえなど)を伸張する上で、個々の子どもと波長の合ったアロマザーが不可欠であることが今年度の研究からあらためて判明した。
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Research Products
(4 results)