2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K00772
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
石原 久代 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (50193347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 香奈子 京都光華女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (00410697) [Withdrawn]
山下 健 椙山女学園大学, 生活科学部, 助教 (50783990)
内藤 章江 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特任講師 (70367639)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ユニバーサルデザイン / 開閉行動 / 容器 / ドア / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「人間生活の充実と向上に寄与する」ことを目的とし、生活の各シーンで色彩の象徴性を考慮した生活情報を提供することにより行動を支援するものである。 2017年度は「生活行動を支援するカラーユニバーサルデザイン」において、特に生活行動として重要である「開ける」動作について取り上げ、3Dプリンターを用いてペットボトル、ハンドクリーム、エレベーターのボタンの実物大のサンプルを作成し、彩色を行い、それらの試料を用いて理解しやすさに関する実験を行った。その結果、どのアイテムも記号のみよりも記号と文字を組み合わせた表示の方が「見やすい」「わかりやすい」と評価され、色彩では赤が特に「開ける」動作に貢献することが判明した。なお、この結果は2018年日本家政学会全国大会にて発表した。 2018年度は、既に大学生を被験者とした生活行動についての知見を得ているため、調査対象者の年齢の幅を広げ、中学生・高齢者における「開ける」表示の「わかりやすさ」評価の相違について検討した。 方法は、これまでの結果をもとに「ペットボトル」と「エレベーター」の2アイテムを取り上げ、背景色をWとし、4色(v2、v12、v18、Bk)を用いた。被験者は中学生263名、高齢者136名とし、「開ける」表示のわかりやすさを10段階で評価させた。 これらの実験結果として、 2アイテムともに「記号と文字」での表示が「わかりやすい」と評価された。高齢者は鮮やかな赤の評価が高く、背景色との明度差が小さい鮮やかな黄の評価が特に低くなった。中学生は視認性や可読性の高い黒や「文字と記号」の両方表示時に評価は高く、大学生と高齢者は「文字のみ」、「記号のみ」においても誘目性が高く「開ける」を象徴する赤の評価が高くなった。これらの知見から、色の象徴性は年を重ねるごとに影響を受けることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、「人間生活の充実と向上に寄与する」ことを目的とし、生活の各シーンでの行動を促す文字情報やピクトグラムに色彩の象徴性を考慮した彩色を行うことにより生活行動を支援するという研究である。 2017年度は「生活行動を支援するカラーユニバーサルデザイン」において、特に生活行動として重要であり、色の象徴性の研究において色彩との結びつきの強い行動として、「開ける」動作について取り上げ、3Dプリンターを用いた実物大のサンプルに彩色を行い、ペットボトル、ハンドクリーム、エレベーターの開閉ボタン の3アイテムで実験を行い、得られた知見について2018年5月に日本家政学会全国大会にて報告した。 その後の研究として、これまでの実験については被験者がすべて大学生を中心とした若年男女であることから、ユニバーサルデザインの観点から考えれば、幅広い年齢層の支持が得られる結果でなければ意味がないため、高齢者および中学生を被験者として研究者全員で分担して実験を行ってきた。しかし、研究途中の11月に研究分担者の1名が急遽入院、1月に急死したため、分担していたデータのバックアップ、整理などに多大な時間をとられた。しかし、調査そのものは、ほぼ終了していたため、何とか整理し、やや遅れているという状態まで持ち直した。この結果は2019年5月に開催される(一社)日本家政学会全国大会にて「生活行動を支援するカラーユニバーサルデザイン(2)―中学生・大学生・高齢者における「開ける」表示の「わかりやすさ」評価の相違―」というタイトルで口頭発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
①2018年に高齢者および中学生を被験者として行った開閉行動に関する研究については2019年5月25日・26日に開催予定の日本家政学会第71回全国大会にて「生活行動を支援するカラーユニバーサルデザイン(2)―中学生・大学生・高齢者における「開ける」表示の「わかりやすさ」評価の相違―」というタイトルで口頭発表する予定である。 ②ユニバーサルデザインを謳う上では、開閉動作などは中学生よりさらに低年齢である子供も行う動作であることから、2019年度は幼児を対象として、お菓子の袋や箱などを想定して、開け口に彩色し、開閉行動について調査を行う予定である。具体的にはそれらの行動をビデオにて撮影し、行動を解析したいと考えている。 ③日本語のわからない外国人についても色の象徴性がカラーユニバーサルデザインとして利用できるかについても調査したいと考え、予定を検討している。
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Causes of Carryover |
研究分担者の大澤香奈子准教授の2019年1月の逝去により、学会発表および研究打ち合わせなどなどの交通費が減となった。しかし研究成果の発表学会において会場が四国大学であるため、交通費は大幅増となり、さらにまとめの年であるため、研究打ち合わせの交通費にも使用する。 またその他の項目においても多少、実験の遅れが生じていることから、追加実験が必要となるため謝金については次年度使用予定である。さらに2019年度は年齢を下げて幼稚園児への実験を追加するため、ビデオ撮影などが必要となり、簡易な撮影機材を物品費で購入する予定である。
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