2018 Fiscal Year Research-status Report
フランスの保育者養成制度の改革に関する研究:子どもにとっての保育を支える仕組み
Project/Area Number |
17K00774
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
木下 裕美子 甲南女子大学, 文学部, 講師 (70434644)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フランス / ソーシャルワーク高等専門教育機関 / 保育者養成制度改革 / 大学との連携 / 海外実習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フランスにおける「子どもの権利」としての保育システム確立に向けた取組みを検討するため、その受入れを担当する保育者養成制度改革を把握し、関係者や職員会議への参加・聞き取りを通じて3つの観点から整理する。(1)「親支援としての保育」と「子どもにとっての保育」の観点では、3つの方針-2018年7月「親支援のための全国戦略」、2018年7月「国と全国家族給付基金における目標・運営協約(COG)」、2018年9月「貧困予防と削減に向けた戦略」を通じて、乳幼児の子育てに関わる親の困難を可視化するとともに、現場で操作可能な解釈を生み出している。保育教育の枠組みにおいて、その質を考慮するために子どもの貧困問題が改めて焦点化され、その保育専門職養成課程への影響が予想される。その養成課程は、(2)2017年デクレによる保育者学位と大学学位を連動させる改革のなかにあるが、実施のための具体的な言及が欠けており、Giampino報告書(2016)の職業地位向上との関連性も不透明であると考えられる。さらに、地域によっては、保育以外の子育て支援施設である「子どもの家」や「親たちの家」の閉鎖が確認され、保育政策の支援対象の明確化ー貧困と障がいーが促されることによって、緩やかな交流や支援を行う場の縮小や変革が進んでいる。したがって、これらの改革は現在進められる子育てに関わる専門職のソーシャルワーカーとしての統合を生み出す可能性と平行して実行されており、養成機関で行われる保育の専門教育への読み替えに困難が生じている状況が明らかになった。(3)保育者養成にかかわる国際レベルの教育実践を把握するための作業としては、フランス人学生が行う海外実習の事例に研究者自身が同行するなどし、研究目的を達成するための材料を揃えつつある。併せて、以上の研究活動を進めるなかでフランスの児童家庭福祉に関する概論をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、フランスの養成課程在籍中の学生が行う海外実習の事例に同行したため、現地資料・聞き取り調査を2回に分けて実施する当初の計画を変更し、複数回の実施を取りやめた。このことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年はこれまでの調査結果をふまえ、継続的に関連文献の収集・整理を行いながら研究成果を研究報告や論文として公表していく予定である。また、調査活動の一環として参加してきたリサーチ・アクションについても成果報告書作成や学内展示などを通じて公表する予定である。
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