2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00782
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森島 美佳 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (50369518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三野 たまき 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00192360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マスク / フィット / 三次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
衛生用マスクは,口と鼻を覆う形状で,咳やくしゃみの飛沫飛散を防ぐために使用される,または埃や飛沫等の粒子が体内に侵入することを抑制するために使用される衛生用品の一つである.本研究の長期目標は,日本国内だけでなく世界規模で高い性能と高い感性評価を有するグローバル衛生用マスク, 各地域のヒト特性および使用特性等を考慮してその地域に根ざすグローカル衛生用マスク,さらには世界各地域の一人ひとりの要求性能を満たすユニバーサル衛生用マスクを開発することである. 本課題では,前課題で開発した「より多くの日本人若年男性にフィットする衛生用マスクパターン(型紙)」の解析手法を基盤として,世界各地域差を考慮したグローカル衛生用マスクの基礎開発を行う.鋭敏な感覚と豊かな感性を持つことが期待される日本人および外国人若年者を対象とし,各地域のヒト特性(頭部形状等)や要求性能に応じた高性能・高感性評価を有する衛生用マスクを検討する. 本課題は,衛生,医療・介護,繊維・製紙,工学などに関する産業界および学術的な研究分野において,これまで取り組まれてこなかった材料特性,ヒト特性さらには感性評価を,グローカルな観点から総合的に検討するところに学術的な特色がある.将来的には,フィルター性能の開発が進展する日本の繊維・製紙産業の協力を得ながら,PM2.5,ウィルス等の多種多様な物質に対する防護性能および耐薬品性能等をも併せて検討することにより,日本から世界へと発信するグローカルな学術的波及効果が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度には,これまで繰り返し調査した日本人若年者のマスクに対する意識調査について比較検討を行った.検討結果の一部については,学術論文にまとめることができた.また,次のステップとして,今後実施する外国人留学生への意識調査をするための質問項目の決定した.調査結果を比較するため,日本人大学生への調査内容についても精査した.さらに,三次元動作解析装置を用いた頭部計測においても,多数の女性被験者を対象として実験を実施することができた. 2018年度では,マスクの口当てシートパターン開発の一環として,昨年度に実施した日本人女性被験者を採用した実験データについて,三次元位置座標の読取りとパターンの解析を進めた.これまでに獲得した男性被験者のデータと併せて検討することにより,日本人男性および女性の閉口時のパターンについて精査することができた.また,成果の一部については,学術論文に投稿することができた.さらに,市販マスクを用いて,マスク周囲から口と鼻を覆う部分へ到達するマクロな隙間経路を観測することができた.以上のことから, 現在までの進捗状況はおおむね順調であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
取得した三次元位置座標データを用い,閉口時と同様の手法を用いて開口時のシートパターンの解析を行う.開口条件の違いが,日本人用解析パターンにどのように影響を及ぼすのかを性差間の比較を行いながら検討していく.また,隙間経路を遮断するマスクシートのパターンについても解析していく.さらに, 外国人の頭部形状について三次元位置座標の取得を行い, 頭部形状の違いによる口当てシートパターンへの影響について解析していく.本課題の総括として,意識調査,頭部計測およびパターン解析による提案事項および今後の課題とその解決方法を考察する予定である.
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Causes of Carryover |
学術論文の印刷費について,年度内に請求されなかったため,次年度使用額が生じた.来年度分の助成金と合わせて,印刷費,試料購入,被験者への謝金等に充てる予定である.
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