2018 Fiscal Year Research-status Report
Systematization of tactile sensation evaluation of the materials for daily commodity (automobile, home appliances, household goods and so on)
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17K00788
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 触感評価 / 客観評価 / 主観評価 / 熱可塑性エラストマー系高分子 / 人工皮革 / 風合い |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自動車、家電製品、日用雑貨など手に触れて用いられる材料の触感を、それらの材料特性を用いて定量的に評価し、最終用途における触感の指標を作成することを目的としている。特に、素材そのものによる触感、さらにはその成形品の層構成や表面性状などによる触感の変化について、評価方法、評価結果の表現手法を確立し、定性的かつ定量的に表現することにより共通軸を完成させ、素材開発に結びつけることを可能にし、材料処方、層構造、表面性状などを含めた提案型の開発を行うことで、ニーズをいち早く獲得するとともに、ニーズを満足するソリューション提供を実現することを目指している。 29年度は、オレフィン系熱可塑性エラストマー系高分子材料の文献調査と企業関係者のヒアリング調査から、材料の触感に関わる評価項目を決定した。30年度は、それに加えて人工皮革を試料として、KES装置を用いて、試料の圧縮特性、表面特性、熱移動特性等の物理特性を、複数の条件で測定し、主観評価と最も相関の高い物理特性の測定条件を決定した。その折に、材料に適したチャック方式の変更を検討し、測定機器や条件に適したアタッチメント(圧縮子・接触子等)のチューニングを行った。人間の感覚と材料の物理特性との関係を明らかにするため、硬さ、クッション性、なめらかさといった風合いと触感の良さに関する主観評価を行い、測定データとの相関をとった。特に風合いと表面摩擦特性との関係が示唆され、布の風合いの客観評価方法を応用して、オレフィン系熱可塑性エラストマー系高分子材料と人工皮革の風合いの客観評価の可能性を検討した。その結果、表面特性と主観評価値との間に相関関係がみられ、物理特性値を用いて風合いを予測できる可能性が示された。しかし、布や衣料用皮革の風合い客観評価式では評価しきれない部分もあり、圧縮特性や表面特性に特化した評価が必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硬さのある成型加工品を客観評価するにあたっては、それらの材料、用途に適した触感の主観評価項目の設定、客観評価を行うための物理特性およびその物理特性の測定条件の決定が必要である。研究代表者は、これまで衣料(繊維製品)用途におけるKES測定装置による、測定条件の決定、用途に適したアタッチメントの開発で積み重ねてきたノウハウを利用し、順調に研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、これまで、布のような柔らかい繊維集合体の触感評価を行ってきたが、オレフィン系熱可塑性エラストマー系高分子材料のような硬い材料については知見が少ないことから、主観評価項目の設定や物理測定の測定条件の決定については何度も試行錯誤を繰り返すことになる可能性が考えられた。しかし、既往研究における天然皮革や合成皮革、塗料の異なる基板の触感評価の例を参考にしつつ、製造関係者の意見をその都度うかがいながら、用途をしぼって適切な条件設定をしつつあり、これを確定していきたい。また、客観評価式の精度確認については、客観評価式の作成に用いる試料、精度確認のための試料を分けて捉えることで、触感の予測精度を正確に捉えることとし、現場で実際に応用できる式の開発、体系化を目指す。
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Causes of Carryover |
試料の収集などに関して、企業からの提供があり、材料費が抑えられたことと、順調に測定がなされたため、次年度使用額が生じた。海外での国際発表も控えており、成果発表に主に経費をかけたいと考えている。
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