2017 Fiscal Year Research-status Report
四川省・チベット族の集落特性と変容および集落特性を生かした集落整備に関する研究
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17K00791
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中山 徹 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60222171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チベット族 / ムヤチベット族 / 四川省 / 集落調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では、2017年度はカンバチベット族の集落調査を行う予定であったが、現地の受け入れ体制などとの関係で、2017年度はムヤチベット族の集落調査を実施した。調査を行ったのは2017年10月及び2018年3月で、四川省カンゼチベット族自治州の集落を対象とした。現地観察調査及びヒヤリング調査を行ったのは18集落である。当初の予定では、10月にすべての現地調査を行う予定であったが、天候の理由で一部が未実施となり、3月にも現地調査を行った。 調査項目は、地形(山、川、集落の位置関係、傾斜、面積など)農牧地(住宅との位置関係、家畜の種類・頭数、耕作物など)、インフラ(道路の形状、道路と住宅の位置関係、橋梁、擁壁など)、建物の状況(住宅戸数、階数、形態、色彩など)、共同利用施設(宗教施設、教育施設、広場、立地など)の状況などである。 また、各集落でヒヤリング調査を行い、集落の概況(住戸数、世帯数、主な生業など)、共同利用施設・共同作業(建物の状況、宗教施設の状況、祭祀・共同作業の状況など)、集落の発展過程(集落の形成時期・過程、他集落との関係など)、集落の改変状況(新たな建築物・インフラの状況、農牧業の近代化など)、今後の集落計画などについて把握した。 2回の現地調査でムヤチベット族の集落については予定したデータを入手することができ、現在データ分析を行い、学会に投稿する論文の執筆を進めている。 さらに、10月、3月に海外共同研究者が所属する西南民族大学を訪問し、チベット族研究について意見交換を行い、今後の調査について意見交換を行うと伴に、必要な資料も収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究では四川省カンゼチベット族自治州で暮らすカンバチベット族、ギャロンチベット族、ムヤチベット族の集落を対象に、①民族、地域を象徴する集落特性(地形、インフラ、住宅、施設などとそれら相互の関係)を明らかにし、②それらの特性を変えている原因を近代化、政策との関係で把握し、③近代化を図りつつ集落特性を維持できる具体的な集落整備の方法を検討することである。当初の予定では、先の順番に1年ずつ調査を進める予定であったが、2017年度は現地受け入れ体制との関係で、ムヤチベット族の集落を対象に調査を行った。順序が入れ替わったが、予定していた集落数のデータも確保でき、ムヤチベット族の現地調査は終了した。来年度以降は、残りのチベット族を対象に調査を行う。順序が入れ替わったものの、1年に一チベット族の調査を行うスケジュールは予定通りであり、調査分析は順調に進んでいる。 交付申請書にはモンゴル族の集落を比較調査するとしたが、これは実施できなかった。その理由は先にも述べたように天候の理由で1回目の調査で一部調査が未実施となり、今年度中にムヤチベット族の現地調査を終了させるためには、2回目の現地調査入れる必要が生じたため、比較調査よりもムヤチベット族の現地調査を優先させたからである。 海外共同研究者が所属する西南民族大学とは研究交流、調査に関する意見交換が予定通り実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、下記のように進める予定である。 ①チベット族の集落調査。2018年度はカンバチベット族、2019年度はギャロンチベット族の集落調査を進める予定である。調査方法、項目などは今年度の内容をほぼ踏襲する。 ②比較調査。他の少数民族の集落調査を行い、チベット族集落の特徴をより明瞭にする。モンゴル族、ドン族、チワン族を想定しているが、現地受け入れ体制との関係で、満族、朝鮮族なども比較調査の対象として検討する。条件の整ったところから、年1回程度の頻度で実施する。 ③調査結果についてはその都度、日本建築学会、日本家政学会などに投稿する予定である。2018年度は日本建築学会大会で発表予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、四川省の現地調査と内モンゴル自治区の現地調査計2回を計画していた。ところが、前者の調査(10月)が天候の理由で一部未実施となり、そのための追加調査(3月)を四川省で行った。当初の予定では、日本から3名が出張する予定であったが、3月の調査は日程の都合で2名による調査となり、また調査期間も短くした。 一方、四川省の調査を2回入れたため、内モンゴル自治区の調査を入れることができなかった。海外調査回数は2回で、当初の予定と同じであったが、調査期間が短くなったこと、調査人員が少なくなったことにより、未使用が生じた。
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