2019 Fiscal Year Research-status Report
四川省・チベット族の集落特性と変容および集落特性を生かした集落整備に関する研究
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17K00791
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中山 徹 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60222171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チベット族 / ギャロンチベット族 / 四川省 / 集落調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度にムヤチベット族、2018年度にカンバチベット族の集落調査を行ったため、2019年度はギャロンチベット族の集落調査を行った。調査を行ったのは2019年8月で、四川省カンゼチベット族自治州の集落を対象とした。現地観察調査及びヒヤリング調査を行った。当初の計画では、中山及び留学生ですべての現地調査を行う予定であったが、中国当局が外国人の山間部への訪問を規制していたため、基本的な調査は留学生が実施し、中山が現地で報告を受け、調査指導する形に変更した。ただ、調査そのものは予定通り終了し、必要なデータも収集できた。調査項目は、地形(山、川、集落の位置関係、傾斜、面積など)農牧地(住宅との位置関係、家畜の種類・頭数、耕作物など)、インフラ(道路の形状、道路と住宅の位置関係、橋梁、擁壁など)、建物の状況(住宅戸数、階数、形状、色彩など)、共同利用施設(宗教施設、教育施設、広場、立地など)の状況などである。 同時に、各集落でヒヤリング調査を行い、集落の概況(住戸数、世帯数、主な生業など)、共同利用施設・共同作業(建物の状況、宗教施設の状況、祭祀・共同作業の状況など)、集落の発展過程(集落の形成時期・過程、他集落との関係など)、集落の改変状況(新たな建築物・インフラの状況、農牧業の近代化など)、今後の集落計画などについて把握した。 今回の現地調査でギャロンチベット族の集落については予定したデータを入手することができ、現在データ分析を行い、学会に投稿する論文の執筆を進めている。 また、11月に海外共同研究者の西南民族大学趙副教授と、チベット族研究について意見交換を行い、今後の調査について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究では四川省カンゼチベット族自治州で暮らすカンバチベット族、ギャロンチベット族、ムヤチベット族の集落を対象に、①民族、地域を象徴する集落特性(地形、インフラ、住宅、施設などとそれら相互の関係)を明らかにし、②それらの特性を変えている原因を近代化、政策との関係で把握し、③近代化を図りつつ集落特性を維持できる具体的な集落整備の方法を検討することである。当初の予定では、先の順番に1年ずつ調査を進める予定であったが、2017年度はムヤチベット族、2018年度はカンバチベット族、2019年度はギャロンチベット族の集落を対象に調査を行った。順序が入れ替わったが、予定していた集落数のデータはおおむね確保できた。 交付申請書では他の少数民族との比較調査をするとしていた。2017年度はスケジュールの関係で比較調査はできなかったが、2018年度は河北省青龍満族自治県で満州族の比較調査を行った。 海外共同研究者が所属する西南民族大学とは研究交流、調査に関する意見交換が予定通り実施できている。 上記の点までは予定通りであったが、2019年3月に総括現地調査1(四川省)、他の少数民族の比較調査(吉林省朝鮮族)を実施する予定であったが、新型コロナ感染症の関係で調査できなかった。また2020年8月に総括現地調査2(四川省)、他の少数民族の比較調査(四川省チャン族)を予定していたがこれも無理となった。さらに4年間の研究期間であるため、2020年10月ごろに他の少数民族の比較調査を実施し、4民族のデータを得る予定であったが、現状では10月の調査も難しくなっている。総括現地調査でカンバチベット族、ギャロンチベット族、ムヤチベット族の相違点を明確にし、他の少数民族とも比較する予定であったが、それらの調査が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
カンバチベット族、ギャロンチベット族、ムヤチベット族の個別データはほぼ収集でき、それらを比較検討する視点まではほぼ確定できたが、その視点に基づいて実施する総括調査が新型コロナ感染症との関係で実現できていない。またチベット族集落の特徴を明確にするため、他の少数民族との比較調査を行う予定であるが、現時点では満族のみにとどまっている。 現地調査は年2回を予定しており、そのうち2020年3月と2020年8月の調査が実施できない。新型コロナ感染症がいつ収束し、いつから海外調査が可能になるかわからないが、現時点では1年間の調査が空白になっているため、研究期間の延長を検討している。
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Causes of Carryover |
2020年3月に現地調査(四川省、吉林省)を予定していたが、新型コロナ感染症との関係で実施できなかった。その調査費が未使用となっている。 2020年8月に予定していた現地調査(四川省)も実現できない。 現時点では、現地調査(四川省2回)、比較調査(吉林省、湖南省)を予定しており、新型コロナ感染症が収束すれば、その経費として使う予定である。 ただ次回調査は早くても2020年の秋以降になるため、実現可能性を考えると研究期間の1年延長が必要となる。
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