2021 Fiscal Year Research-status Report
四川省・チベット族の集落特性と変容および集落特性を生かした集落整備に関する研究
Project/Area Number |
17K00791
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中山 徹 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60222171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チベット族 / ギャロンチベット族 / カンバチベット族 / 集落調査 / 四川省 |
Outline of Annual Research Achievements |
ギャロンチベット族の10集落を調査し、集落の特徴を把握した。主な点は以下の通りである。 地形的特徴:起点の標高はすべての集落が1800mから2200mの間に含まれる。起点から最も標高の高い住居(農地)までの距離は1000m~2000mが6集落と多く、世帯数は100未満が6集落である。傾斜度は、最大が29°、最低が1°でばらついている。 集落の内部特徴:集落の道路は国道、主要道路と小道で構成されている。国道に主要道路を付けて、国道から奥まったところに集落がある。集落内の公共施設は保健室、活動センター、広場、学校であり、活動センター、保健室は全集落に設置され、広場は設置していない集落もある。学校は郷を単位にしているため、大半の集落では学校が設置されていない。元々公共施設は集落内に分散して設置されていたが、最近は政府の政策によって、公共施設は1ヶ所に集中して設置している。水源は川と泉の2つである。両方を水源としている集落は3、泉のみを水源としている集落が7である。両方を水源としている集落は川から農地までの距離が150m以内であり、どの水源を使うかは川からの距離によって決まると思われる。集落の入り口は1ヶ所が基本であるが、近くの集落と繋がるため、2ヶ所設けている集落もある。住居は1軒ずつ立地し、農地はその周辺にばらばらと立地している集落が9集落である。残りの1集落は住居と農地が一団地として立地している。宗教施設は、寺、経堂、白塔であり、白塔はすべての集落に設置されている。 隣接集落との位置関係:稜線に挟まれた谷に1集落ずつ形成されるのが基本である。世帯数が増えた場合、一定数が周辺に移住する。元の集落が立地する谷が比較的広い場合には、新たな集落をその谷内に形成する。そのような集落はかつて一集落としていたが、現在は中国の行政構成に従い、別々の集落になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたチベット族集落についての現地調査はおおむね完了した。ただし、データ収集について補足調査を行う予定であったが、新型コロナ感染症の関係で実施できていない。また、比較調査を行う予定であったが、これについても新型コロナ感染症との関係で行えていない。さらに、西南民族大学を訪問し研究協力者とデータ分析等について意見交換を行う予定であったが、これについても未実施である。 すでに調査が終了したギャロンチベット族の集落調査については、日本建築学会論文集に投稿し、現時点で再査読中である。また、カンバチベット族の集落調査も終了しており、これについては奈良女子大学家政学会に投稿済みで、現在審査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症が収まり現地調査が可能になれば、データを補足するため、最後の現地調査を行う。また、最後の集落調査について、この夏をめどに審査論文としてまとめて投稿する予定である。その上で3チベット族の集落比較を行い、その研究成果を元に西南民族大学で検討会を行い、研究の最終的なまとめとする予定である。 他の少数民族との比較調査であるが、日程的に可能であれば実施するが、新型コロナ感染症のため、中国への渡航が制限されており、現時点では実施できるかどうか判断できない。
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Causes of Carryover |
2020年度、2021年度は新型コロナ感染症との関係で海外調査が実施できていない。この研究では直接経費の約90%を旅費に充てる予定であったため、その2年間は予算を執行できていない。今年度、新型コロナ感染症が収束すれば、現地調査を1回、西南民族大学との共同検討会を1回、開催する予定である。また、審査論文を2本投稿中であり、採択されればその投稿費に充てる予定である。
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