2021 Fiscal Year Research-status Report
Making Streets for "Place" of Living and Citizenship Education
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17K00800
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
薬袋 奈美子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60359718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺内 義典 国士舘大学, 理工学部, 教授 (00338295)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活道路 / ボンエルフ / 道路管理団体 / 交通標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍に加え、2018年度に実施したことと同様の社会実験を実施した上での研究を行う予定であったが、道路を管理する警察署から許可がされなかったため実施することができなかった。当初は道路の設えを、路面装飾を施す等して行う予定であったが、代わりに、道路標識に類した表示を、沿道住宅の柵等に掲出させていただき、住民の方にアンケートを実施する実験を行った。 掲出する標識は、欧州のボンエルフに類するもの、デンマークにおけるボンエルフの補助標識、NPO団体Playing Out が利用している標識である。これらの標識はいずれも、滞留を促すことに繋がるという結果が得られ、特に8割の人が、人が優先される道だと感じること、6割の方が子供が遊んでも良い道だと感じる等の回答があった。 更に、道路の使い方に対する住民の意識を変えることに成功したという事例として、山口県長門温泉へのヒアリング調査を行った。ここでは、道路協力団体を設立し、道路管理者と連携をしながら使い方の工夫をすることが実現している。その工夫には、多くの住民の協力が得られて管理されている面がみられる。この取り組み実現の背景には、沿道事業所が空家問題なども含めてまちづくりの課題として熱心に取り組んだということ、またその一環として社会実験を行い、多くの住民に実際に通常とは異なる空間体験の機会を提供したことが重要であったとのことが示された。 このような小さな空間での意識の変化の積み重ねが、様々な地域で展開することにより、日本全体の生活道路の使い方の展開に繋がるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により人を集めることができなかったり、警察署により以前は許可されたことが許可されなかったりする等、想定していなかったことが起きたために、当初の計画通りの内容を実施することはできなかった。 しかし路面装飾という設えを交通標識に代えたり、住民の意識変革についての調査の代わりに先行事例で意識変革に成功した町でのヒアリングを実施することにより、必要な知見を得るための代替措置をとることができた。 なお、先行事例調査は、調査先のコロナ禍での受け入れ状況や、研究者の本務校での校務等との調整により年度末にしか実施することができなかったため、それに基づく研究発表は翌年度となった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施した実験の結果を学会で発表する予定である。また、これまでに実施した本研究、及び他の調査も含めた複合的な考察結果を、10月に開催されるChild in the City会議にて発表をする予定である。 また、住民の意識啓発を行うためのウェブサイトを作成し、これまでの研究成果を利用した、時間をかけた社会実験を行うこととする。そのために効果的なウェブサイトのデザイン校正等を専門家と相談して作成する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍及び学務により、実施しようとした調査のタイミングが年度末となってしまったため。 昨年度までの調査結果の学会での発表、及びウェブ公開のための費用として使う。
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Research Products
(1 results)