2018 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災後の生活再建過程における衣生活の課題と解決方法
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17K00801
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
佐々井 啓 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60017241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 直子 岩手県立大学盛岡短期大学部, その他部局等, 教授 (10131997)
久慈 るみ子 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (40153291)
山岸 裕美子 群馬医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60291861)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 衣生活 / 震災 / 手芸 / 裁縫 / 高齢者 / グループ化 / 精神的機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災生活研究プロジェクトにおける調査を基盤として、生活再建のプロセスにおいて様々な調査をおこなってきた。29年度は、さらに衣生活の課題をあきらかにするために、仮設住宅等でのインタビューをおこなってきたが、30年度についても継続した。 29年度に倫理審査を経て作成していた調査用紙を用いて、福島、宮城、岩手の調査地域で調査を実施した。主として、震災前の衣生活について伺い、さらに避難所等に滞在中の震災直後の衣生活、避難所から仮設住宅、復興住宅等に移住後の衣生活についてそれぞれの地域でまとめた。対象地域は、継続している地域を含めて岩手県釜石市、大槌町、宮城県石巻市、仙台市、福島県相馬市、新地町などである。 その結果、震災から年月が経っていて、住居が変わっているにも関わらず、グループとして活動が継続している要因について考察した結果、次のような傾向が明らかとなった。それは、中心となるリーダーが存在し、震災前は必ずしも地域でのつながりがあったのではないが、避難所で出会い、その後も交流を続けていることである。これは、高齢者の生きがいの創出につながるものであるといえる。 さらに、それらの手芸グループが商品化を可能として、1年に数回、地域や東京での発表の機会に参加していることは、生き残ったグループが、技術の向上を目指し、社会参加を可能としていることが明らかとなった。 これらの例から、手芸や裁縫のグループを作ることは、震災にかかわらず高齢者の生きがいを支援するための重要な要素となることを示唆していると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、震災による衣生活の変化がどのようになされたかのアンケートをまとめることであったが、実際にインタビューやアンケートを行った結果、さまざまな側面が浮かび上がってきた。それらの側面をさらに次年度以降推進していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューで明らかになった生きがいとして結成されたグループが、リーダーの指導の下に作品をさまざまな機会で販売し、活動資金に使ったり、地域での震災支援活動に継続的に寄付をしていたりすることが明らかになったことである。中には地域の商品として大手化粧品会社などに取り上げられている。このような展開は予想していなかったので、今後はさらに対象地域やグループを増やして検証を行う予定である。 また、被災地からおこった手芸などの活動を通して、高齢者支援のための具体的な方策を見出していきたい。
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Causes of Carryover |
30年度は調査地での複数調査が実施できたため、旅費等の使用額が少なかったので、次年度使用額が生じた。 今年度は、学会発表の開催地が遠隔であるため、出張旅費がかかることと、国際会議での発表を予定しており、海外旅費や参加費等が支出される予定である。 また、調査についても、最終年度を踏まえて具体的な計画をさらに推進して行く予定である。
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Research Products
(2 results)