2020 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災後の生活再建過程における衣生活の課題と解決方法
Project/Area Number |
17K00801
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
佐々井 啓 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60017241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 直子 岩手県立大学盛岡短期大学部, その他部局等, 教授 (10131997)
久慈 るみ子 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (40153291)
山岸 裕美子 群馬医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60291861)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 震災 / 衣生活 / 高齢者 / 生きがい / 精神的機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災生活研究プロジェクトに参加して、石巻の4つの異なるコミュニティの生活再建についてのプロセスを調査してきた結果を踏まえて、生活再建における衣生活の問題点をさらに明らかにするために活動を行ってきたものである。 そこで浮かび上がってきた衣生活の問題点について、人間が生活していく上で必要な衣生活が震災直後にどうであったのか、衣料品の支援物資がどのように生活の中で生かされていたのか、また、どうあるべきか、という課題について、地域住民と行政支援の両者から検証してきた。そこで衣生活に関する総合的な研究を行うこととして活動を行った。 アンケート調査やインタビューを通して明らかになったことは、単に被災地の固有の問題ではなく、そこから高齢者の衣生活の実態が浮き彫りにされたことである。被災地の高齢者の衣服の入手方法の変化を把握するとともに、単に所持衣服の量的な調査ではなく、衣服に込めた「思い」や装うことによる「生きがい」という精神的な効果を明らかにしてきた。 これまで各研究者が地域で行ってきた活動を基盤として研究対象地域(宮城県名取市、石巻市、南三陸町、岩手県釜石市、陸前高田市、岩手県宮古市、大槌町)を中心として調査を行った結果をまとめる。これらの調査、検証により、衣生活の問題を把握するだけではなく、さまざまな被害に対応できるような、衣料品支援の在り方を広く公表し、今後の備えとしていくことに意義がある。 さらに、今後、災害時の衣生活と高齢者の精神的な支援のひとつのあり方を提案し、それを印刷物等で公表していくことを目的としているだけでなく、一般的な独居高齢者や施設入居者への支援にも応用できると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は被災地でのインタビューなどがほとんど実施できなかったために、最終のまとめが出来なかった。しかし、これまでのデータの分析や関連調査等の資料収集をおこない、最終報告に向けての準備はできたと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
被災直後とその後の避難生活における衣生活の実態を把握し、生活再建のなかで衣服の果たす役割を考慮して、災害時に人々の衣生活がいかに壊され、取り戻されたかという視点から解明してきた。そこで、これまで培ってきた現地の職員、ボランティア、仮設住宅・復興住宅住民たちと共に衣生活の問題に取り組み、高齢者のインタビューをまとめることにより、衣服が高齢者の方々の精神的な支援となることを明らかにし、あらたな「生きがい」を生むことを明らかにしていく。 さらに、今後、災害時の衣生活と高齢者の精神的な支援のひとつのあり方を提案し、それを印刷物等で公表し、更には一般の独居高齢者や施設入居高齢者の問題として、衣生活をとおした生活の豊かさを提案していく。
|
Causes of Carryover |
2020年度は調査地を訪問し、インタビューを行うことが出来なかったため、主として調査旅費の使用が出来なかった。また、打ち合わせ等の会合はオンラインとなり、出張旅費を使用しなかった。 今年度は、可能であれば最終打ち合わせを行うため、オンラインで使用するウエブカメラ等を購入する。最終の状況を把握するためのデジタルカメラを購入し、これまでの調査のまとめの人件費と、最終の学会等に発表するための打ち合わせ旅費、投稿料などを使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)