2018 Fiscal Year Research-status Report
GPSによる高齢者の外出行動の実態把握と外出を起点とした地域住環境に関する研究
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17K00802
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
竹原 広実 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (20298706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域 / 住環境 / 外出 / 社会活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は高齢者の外出の実態を量的に把握する実験を行う計画であったが、端末の使用条件が整わなかったため、2019年度予定の外出を質的側面から把握する質問紙調査を実施した。 対象地域の社会福祉協議会と自治連合会、市政協力委員連絡協議会の協力を得て、地域全戸2000世帯に調査を実施した。調査期間は7月~9月、質問紙は452部回収した。調査結果を要約すると、1)住環境評価は、自然の豊かさに満足している人が多く、店舗数の少ない飲食・娯楽施設については不満は多いが重視はされていない。買物への移動のしやすさなどは交通利便性がよくない地域を反映し不満が多い。一方、住民活動に関しては満足度が高く、総合満足度との関連も高い。2)普段の外出は、1日1回は外出する人が8割と頻度は多い。一方で、1度も外出しない人は13.2%いる。3)外出先は種類に関わらず学区外が多く交通手段は車(自運転)が多い。4)必要活動に関する外出は頻度は高く、社会活動に関する外出は低い。また社会活動だけをみると、友人との交流や趣味活動など個人的な外出は頻度が高く満足度も高い。一方で地域活動やボランティア活動などの外出頻度は低い。5)「地域の活動」の外出頻度が高い人は、住環境評価において総合満足度の割合が高い。などの結果が得られた。 また2月23日に対象地の社会福祉協議会が主催する「社会福祉協議会30周年記念講演・シンポジウム」において上記調査結果を約80名の参加者に報告した。フィードバック(報告)を行ったことで、地域住民が自分たちの地域を日頃よりどう感じているかなど、住民意識を客観的に捉えること、それを住民同士で共有することに大きく貢献した。地域住民が共通理解のもと今後地域の課題解決を図る助けとなったことから、本調査は意義が大きいものであったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度計画の条件が整わなかったために、先に2019年度計画のものを実施するなど、当初の計画と順番に変更が生じたものの、調査は順調に実施でき、さらに結果報告を地域住民に実施(フィードバック)することもできたこと、研究論文の執筆をしたことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究結果を日本家政学会において報告、公表する(2019年5月25日)。また2018年度に実施できなかったGPSを用いた高齢者の外出の実態に関する量的実験を実施する。また、2018年度の調査結果より、地域活動やボランティア活動の外出頻度が低かった。これは屋外の歩行路脇のベンチなどのちょっとした休憩スポットの温熱、空気、日射など環境状態が人の滞留のしやすさに影響を与え、それが外出行動量の多少につながっているのではないかと考えられた。そのため休憩スポットの温熱環境の調査も加えて実施する。
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Causes of Carryover |
2018年度は当初実施予定であった実験ができなかったため、それに係る器材購入経費が残高として生じた。2019年度は2018年度実施予定であった実験を実施するために、器材のGPSとデータ分析用のPC及び、被験者の謝金に使用する。また休憩スポットの環境状況に関する追加調査を行うための測定器材の購入にも使用する。
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Research Products
(1 results)