2018 Fiscal Year Research-status Report
地域コミュニティとしてのふれあい・いきいきサロンの包括性と持続性に関する研究
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17K00803
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
中村 久美 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (80240860)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ふれあい・いきいきサロン / 高齢者 / 住生活 / コミュニティ / 地域福祉活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
モデル学区への調査のうち、サロン参加高齢者への質問紙調査より、日常の近隣関係のうすい高齢者もサロンに参加していること、そのような人や独居または夫婦のみの後期高齢者では、サロンに参加することの意義、効用について、「生活情報を得られる」「地域事情がわかる」等を指摘するほか、日常、非日常を問わずサロンの関係者を「頼りにする」とし、生活上の「安心」「支え」を得ていることが明らかになった。この高齢者の生活の質にかかわるサロンの効用については、大学紀要への投稿論文にまとめた。 一方、運営代表者や彼等を支えるボランティアへのヒアリングにより、サロン関係者の地域コミュニティへの関りや、サロン外の地域福祉に携わる民生員や学区福祉委員との関係性、さらにはサロン間の連携などの様子から、学区内にサロンを介したコミュニティネットワークの構築が認められた。また学区内立ち上げられ12サロンを束ねている「サロン連絡会」に対する観察調査や事務局へのヒアリングから、本組織が各サロンからの情報を共有する場となり、サロン運営のノウハウについての情報交換や意見交換を行っていることが明らかになった。加えて地域の福祉課題についても共有し協議する体制が整いつつあることが認められた。 本研究の検証の視点の一つである「包括性」については、このネットワークの構築によって、孤立しがちな地域高齢者をもその網の目に掬い取ることで、包括性を担保していると評価した。本事項については、参加高齢者の立場から包括性をまとめて日本家政学会に、また運営代表者からのヒアリングをもとに運営のしくみを中心に建築学会においてそれぞれ研究発表を行った。 なお、学会への研究成果公表と併行して、調査対象としたモデル学区に対し、調査結果の還元として、サロン関係者を含め地域福祉活動に携わる住民を対象に、調査結果の報告会を社会福祉協議会の協力を得て実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のテーマであるふれあい・いきいきサロンの「持続性」「包括性」両点について、一定の結論やこれからの取り組みの方向性の見通しが2年間の調査でついてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、連絡会の取り組みを中心に、連絡会と各サロンの関係、連絡会と社会福祉協議会や民生員・学区福祉委員などとの連携に焦点をあて、調査を実施する。 さらに2年間の調査結果を学会論文にまとめ、成果の公表を行うとともに、モデル学区以外の宇治市各学区へ成果を報告し、それぞれにサロンを介したコミュニティネットワークの構築を促すために、ミニ講演会や講習会などを企画、実施していく。
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Causes of Carryover |
予定した学会、研究会への出張が校務のためかなわず、旅費使用ができなかった。 次年度は成果公表のための学会への論文投稿を計画中で、投稿料、掲載料を見込んでいる。その他、学会、研究会への出席や調査結果の還元のための報告会や研修企画などの使用を計画している。
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Research Products
(3 results)