2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢期に対応した多世代共生型集住(コレクティブハウス)の有用性に関する研究
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17K00806
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Research Institution | Shohoku College |
Principal Investigator |
大橋 寿美子 湘北短期大学, その他部局等, 教授 (40418984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90183954)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コレクティブハウス / フェルドクネッペン / 高齢期 / スウェーデン / 熟年コレクティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
北欧の熟年コレクティブハウスにおける高齢期に対応する住運営システムの実態把握のために、コレクティブハウス「フェルドクネッペン」の入居者を対象とした生活実態・住運営に関するアンケート調査を実施した。その結果、入居23年が経過したFKの住運営と生活実態について、以下の点が明らかになった。 ① 居住者と非居住者の会員(サポーターなど)で構成される居住者組合が、住運営(コモンミール、共用空間の掃除、入居者選定など)を行う運営方法や体制には大きな変更はみられなかった。② 居住者組合による入居者選定効果から、居住者数や年齢構成の変化が小さく(平均年齢は2007年69.22歳、2016年69.82歳)、多世代居住を継続していた。その一方、現在でも活動の中心となっている創立メンバーの高齢化や人数の減少(全体の35.7%)がみられ、今後の運営体制の維持が課題である。③ 2016年調査では、創立メンバーや居住歴の長い高齢の居住者の回答で中心であった。回答者は退職に伴って住運営への参加がより活発化していた。④ 体が動かなくなってもFKでの継続居住を8割の人が希望していた。⑤ 居住者と入居を希望するサポートメンバーによる役割分担のサポートにより、高齢期の住み続けを可能としていた。⑥ 新たに入居した若い年代層との生活スタイルやコレクティブ活動への参加度の違いが課題である。 上記の結果について、日本建築学会大会にて口頭にて発表、日本家政学会大会にてポスターにて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに下記の2つの項目について研究を進めている。北欧の熟年コレクティブハウスにおける高齢期に対応する住運営システムの把握、高齢期に対応した共生型集住(グループリビング)の住運営方法の実態把握である。 北欧の熟年コレクティブハウスにおける高齢期に対応する住運営システムの把握については、研究業績に記した、コレクティブハウス「フェルドクネッペン」を対象とした生活実態・住運営に関するアンケート調査結果のデータ整理・分析し、日本建築学会、日本家政学会にて発表した。現在は、今年8月にスウェーデンへの訪問調査に向けて準備を行っている。具体的には以下の調査を計画している。 ① 「フェルドクネッペン」前回のアンケート調査で回答を得ることができなかった年齢層が若い40~60歳代へのアンケートヒアリング調査の実施、② 「フェルドクネッペン」以外の高齢者が住み続けているコレクティブハウス事例への訪問ヒアリング調査、③ 最新のコレクティブハウス事例の居住者への住運営、生活実態調査の実施を計画している。④ さらにそれらの位置づけを明確にするべく、文献調査によるスウェーデンの住宅政策の把握、訪問ヒアリング調査による行政による住宅供給会社、民間の住宅開発会社の実施を検討している。 高齢期に対応した共生型集住(グループリビング)の住運営方法の実態把握については、 グループリビングCOCO湘南台、COCOたかくらの生活・運営実態に関する訪問ヒアリング調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度8月にスウェーデンに訪問ヒアリング調査を実施する予定である。現在、各事例や住宅供給会社、民間住宅開発会社へ調査依頼、日程調整を行っている。また、調査手法などについても調査先と相談しながら、最も成果が得られる方法について検討している。調査終了後、調査結果のデータ整理や分析を行い、高齢期まで住み続けられる住運営の仕組みを明らかにする予定である。さらに、スウェーデンでの住宅政策におけるコレクティブハウスや各事例の位置づけを考察していく予定である。 来年度は、今年度の調査結果を踏まえて、日本のコレクティブハウスかんかん森の住運営への反映を検討し、日本での高齢期まで住み続けられるコレクティブハウスのあり方を提案する予定である。 研究成果の公表については、来年度日本建築学会大会にて口頭発表、日本家政学会にてポスター発表を行う予定である。さらに、3年間の研究成果を、報告書にまとめると同時に、論文として投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度のスウェーデン訪問調査の時期を、当初予定していた5月から8月への変更に伴い、旅費の増額が見込まれるため次年度の使用とした。なお訪問調査の時期変更は、研究代表者の大学異動による変更である。
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