2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢期に対応した多世代共生型集住(コレクティブハウス)の有用性に関する研究
Project/Area Number |
17K00806
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
大橋 寿美子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40418984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90183954)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コレクティブハウス / 高齢期 / 住宅運営 / 生活実態 / 供給方式 / 入居者選定 / スウェーデン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、継続的な人間関係と居住環境の中で、日常的な安心が担保され、住棟内に居住者間の交流と生活の一部を協働するシステムをもつ共生型集住(コレクティブハウス)を対象として、高齢期まで住み続けることができる自立期に有用な住運営システムの在り方について検討することを目的としている。 居住後25年が経過した先進事例、スウェーデンにある熟年コレクティブハウス「フェルドクネッペン(以下FK)」を対象とした、居住者へのアンケート、訪問ヒアリング調査を実施し、生活・住運営実態から、高齢期まで自立して住み続けられる条件を分析した。その結果、良好で安定した共生環境の継続には、①長期的な課題を整理し、性別や年齢構成、運営上の役割の観点からの慎重な入居者選定 ②住運営の組織化および運営方法のマニュアル化 ③運営の中心となる次代の人材育成 ④入居希望者を含む外部サポーターによるコレクティブ活動の支援 ⑤居住者相互の共助意識、が必要であるとの知見を得た。 上記の結果を、住総研「研究論文集」にて論文発表、日本建築学会学術講演梗概集に論文を投稿済みで、今年9月に口頭発表する予定である。 また、日本の自立期の高齢期に対応した共生型集住(グループリビング)の生活・運営実態の把握のために、「COCO湘南台」「COCOたかくら」の運営者にヒアリング調査を行った。その結果、①調査を実施した2つの事例は居住者の年齢や身体状況に差があること ②現在は居住者による主体的な生活運営はほとんどみられない。③生活や精神面を支え、物理的な介護のサポートなどを行うライフサポートアドバイザーの存在が大きいこと、がわかった。コレクティブハウスにおいても、ライフサポートアドバイザーの役割を担うしくみ(居住者の中から選出など)の導入も考えられる。 この調査結果についても、上記の住総研「研究論文集」にてまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに、先進事例であるスウェーデンのコレクティブハウス「フェルドクネッペン」へのアンケート調査およびヒアリング調査を終え、調査結果を整理し、論文にまとめて発表した。また、近年建設された熟年型コレクティブハウスの事例「ドンデルバッケン」についても、アンケート、ヒアリング調査を実施した。さらに、日本の高齢期に対応した共生型集住(グループリビング)の事例も調査実施済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、調査した内容のさらなる分析を行い、論文として発表する予定である。 さらに、調査から得られた高齢期まで住み続けられるコレクティブハウスのシステムについて、日本のコレクティブハウスでの実現性を検討する。具体的には、コレクティブハウスでの暮らしを実践している居住者と、意見交換しながら、検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に論文をさらに投稿する予定です。そのための投稿費用および、調査先への翻訳した論文を報告するために、翻訳代が必要となることが見込まれ、次年度使用といたしました。
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