2017 Fiscal Year Research-status Report
調理加工品における融点の異なる砂糖の特性とその生成メカニズムの探索
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17K00823
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
坂本 薫 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20187032)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 砂糖 / スクロース |
Outline of Annual Research Achievements |
世界保健機関(WHO)が世界的に増加傾向にある肥満や糖尿病への対策として、砂糖を多く含む清涼飲料水への課税強化を各国に呼び掛けるなど、砂糖は健康に悪いものと捉えられている。しかし、砂糖は人類が長く使用してきた甘味料であり、食品に甘味をつけるだけでなく、ラジカル補足活性減少抑制効果も認められ、食品の保湿性の向上、デンプンの老化抑制、脂質の酸化抑制、微生物の繁殖抑制、離しょう防止、肉質軟化、保香性向上などの働きが食品中でさまざまに利用されており、菓子類のテクスチャー形成においてもなくてはならないものとなっている。一方、精糖技術の進歩により、今までに存在しなかった融点の異なる砂糖が流通しているが、その事実はほとんど認識されておらず、砂糖そのものの研究は進展していない。これらの特性と生成のメカニズムが解明できれば、食品加工上有意義と考えられるので、これらの特性と生成のメカニズムの解明を目的として研究を行うこととした。 平成29年度は、自動融点測定装置 MP70 (メトラー・トレド株式会社)を用い、精糖会社や工場および精製日の異なるグラニュ糖35種類および双目糖15種類、摩砕グラニュ糖4種類、粉糖4種類、粉砕糖4種類計62種類の砂糖の融点を測定した。自動融点測定装置による測定では、融点の測定値の再現性が高く、測定者による変動が少ないことから、あらゆるスクロース結晶の加熱熔融特性を検証する際に基礎となる測定値が得られる。測定に際しては、その熔融状況を動画により詳細に観察した。その結果、グラニュ糖においてその熔融特性をいくつかのグループに分類できる可能性が示唆された。この内容は学会発表により公表した。また、融点の大きく異なる2種のグラニュ糖を用いて調製したキャンディおよびカラメルソースを用いHPLC分析、官能評価等を行った結果を学会誌に投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グラニュ糖の加熱熔融特性による分類の可能性も示唆されるなど新たな展開もあるため、おおむね順調に進展しているといえる。しかしながら、融点の異なるグラニュ糖が生じるメカニズムの解明という点では、現在試行中であり、軌道に乗せるところまではいっていないことから、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
融点の測定値の再現性が高く、測定者による変動が少ない自動融点測定装置による62種類の砂糖の融点測定により、グラニュ糖においてその熔融特性をいくつかのグループに分類できる可能性が示唆された。この分類の条件となる実験結果をさらに組み合わせ、多変量解析の技法を用いて熔融特性に応じたグラニュ糖の分類を試みる予定である。また、クッキーや焼きメレンゲといった焼き菓子における砂糖の影響についても現在の実験をさらに進め、食品加工上役立つデータとする予定である。
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Research Products
(2 results)