2019 Fiscal Year Research-status Report
ヨード呈色多波長走査分析による米の澱粉特性及び食味特性の新規評価方法の開発
Project/Area Number |
17K00829
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
中村 澄子 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 特任准教授 (30534739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井ノ内 直良 福山大学, 生命工学部, 教授 (80193621)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 米 / デンプン微細構造 / ヨード呈色多波長走査分析 / 食味特性 / 糊化特性 / デンプン分解酵素 / タンパク質 / 米飯物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
米の各デンプン分解酵素は局在性があり、αーグルコシダーゼは外層・内層ともに分布し、中でも胚乳中心部に多く含まれ、αーアミラーゼは胚乳外層部に多く存在することが報告されている本研究では、ジャポニカ米のブランド米27試料における食味に影響をおよぼす米に内在する各酵素(α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-グルコシダーゼ)とデンプン特性(アミロース含量、アミロペクチンSLC、Fb3)および遊離糖(麦芽糖、ショ糖、D-グルコース)と理化学特性値(糊化特性、物性値)との関連を検討した。①2018年産ブランド米27試料の食味に関連するとされる遊離糖(麦芽糖、ショ糖、D-グルコース)を分析した結果、アミロース含量、λmaxと有意に負の相関を示した。この結果、β-アミラーゼ活性、α-アミラーゼ活性がアミロース含量と有意に負の相関を示すためと推定された。②食味に関連する遊離糖ショ糖含量を目的変数に、説明変数にヨード呈色の各ファクターを用い重回帰分析を行った結果、R= 0.76の有望なショ糖含量の推定式をヨウ素呈色で作成することが可能となった。③β-アミラーゼ活性は,最低粘度、Setback、最終粘度、Consistencyと有意に高い負の相関を示し、アミロペクチンFb1+2+3(DP≧13)とも有意に高い負の相関を示した。α-アミラーゼ活性は、最低粘度、最終粘度と有意に負の相関を示し、α-グルコシダーゼ活性は、最高粘度、最低粘度と有意に正の相関を示した。また、糖含量と糊化特性値には、有意な相関は示されなかった。④物性値の表層の硬さ(H1)は、β-アミラーゼ活性、麦芽糖、D-グルコース含量と有意に負の相関を示した。また、表層の粘り(S1)はα-グルコシダーゼ活性で有意に負の相関を示した。全体の粘り(S2)はショ糖と遊離糖総量で有意に負の相関を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、ジャポニカブランド米48試料のデンプン微細構造を、本申請者が開発したヨード呈色多波長走査分析法によって分析し、糊化特性、米飯物性、酵素活性、タンパク質電気泳動などの結果との関連を調べた。分析法の簡易性を保ちつつ、推定式の精度向上を図るため、精米を試料としデンプン試料の結果を推定することを試みた。真のアミロース含量の測定は、多大な労力を必要とする澱粉精製が必要なため、精米によるヨウ素吸収曲線の各値によるAACの推定式の開発を行い、未知試料で検定した結果、良好な結果が示され、これらの推定値と物性値、糊化特性値および官能検査とも高い相関が示された。2018年産ブランド米27試料と2017年産ブランド米21試料を用い、精米と澱粉のヨード呈色多波長走査分析を行い、米の内在性デンプン分解酵素活性、RVAによる糊化特性値、テンシプレッサーの低圧縮、高圧縮法による物性値、官能検査と、精米と澱粉によるアミロース含量との相関を検討した結果、澱粉のアミロース含量と糊化特性値、物性値、官能検査との相関が、精米のアミロース含量との相関に比べ高い傾向を示した。澱粉のアミロース含量は、精米のアミロース含量の1.2~1.3倍高い値を示した。また、上記に示した推定式を用いた精米による澱粉のアミロース含量の推定値は、精米のアミロース含量と糊化特性値、物性値、官能検査との相関に比べ、より高い傾向を示した。 以上の結果を以下の題目でBiosci Biotechnol Biochem.に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ヨード呈色多波長走査分析法を活用して、澱粉の微細構造の推定を行うとともに、米の食味推定技術を開発することを目的とした。現在、アミロペクチン鎖長や呈味性オリゴ糖などを推定する技術を開発し、最終的に、2019年産米で、米の食味を総合的に推定する技術を開発する予定であったが、昨年は異常高温で、米質が低下し、推定式開発が困難となった。そこで、期間を1年延長し、これまでに構築した研究成果を基に、通常気候が予想される2020年産米で推定式の開発を行いたい。
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Causes of Carryover |
本研究では、ヨード呈色多波長走査分析法を活用して、澱粉の微細構造の推定を行うとともに、米の食味推定技術を開発することを目的とした。現在、アミロペクチン鎖長や呈味性オリゴ糖などを推定する技術を開発し、最終的に、2019年産米で、米の食味を総合的に推定する技術を開発する予定であったが、昨年は異常高温で、米質が低下し、推定式開発が困難となった。そこで、期間を1年延長し、これまでに構築した研究成果を基に、通常気候が予想される2020年産米で推定式の開発を行いたい。
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Research Products
(3 results)