2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of Baked milk for milk allergy
Project/Area Number |
17K00831
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
和泉 秀彦 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (80351211)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 牛乳アレルギー / ベイクドミルク |
Outline of Annual Research Achievements |
ベイクドミルク(BM)およびBMの未加熱(ドウ)を凍結乾燥後、ペプシンによる消化処理を行い、その後パンクレアチンによる消化処理を行った。消化処理後の試料を遠心分離し、上清と残渣に分け、残渣からタンパク質を抽出し、アレルゲンをSDS-PAGEおよび特異抗体を用いたイムノブロットにより解析した。その結果、ドウ中にはカゼイン(CN)は検出されず、BM中のCNは不溶性画分にて検出された。この結果より、BM中のCN消化性が低下したことが示唆された。また、ドウ中のβ-ラクトグロブリン(β-Lg)は可溶性画分にて検出され、BM中のβ-Lgは不溶性画分にて検出された。もともと消化されにくいβ-Lgは、BM中でも変わらず消化されにくいことが示唆された。 さらにDBA/2マウスを用い、スキムミルク(SM)またはBMを経口投与し、30分後胃および小腸を摘出した後、その内容物中のタンパク質を特異抗体と用いたイムノブロットにより解析した。その結果、CNおよびβ-LgともにSM投与群では、胃および小腸上部で検出されたのに対して、BM群では、胃のみで検出された。この結果より、SMと比較してBMの方が、胃内滞留時間が延滞した推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験は、順調に進行できている。結果も予想範囲内のものであり、平成31年度(令和元年度)の研究計画も予定通り遂行できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
牛乳アレルギーモデルマウスを用いたBMを摂取後のアレルギー反応性の解析 マウスに牛乳アレルゲンであるカゼインあるいはβ-ラクトグロブリンを繰り返し腹腔投与し、アレルギーを誘導する(カゼインアレルギーマウスまたはβ-ラクトグロブリンアレルギーマウスの作製)。感作されたかどうかは、血中のアレルゲン特異IgEを測定することに判断する。アレルギー状態になったマウスに対して、牛乳あるいはBMを経口投与した後のアレルギー反応について直腸温度、症状観察(死亡・痙攣・不自然な呼吸・行動減少・鼻や頭を掻く)、自発運動量などの項目について解析する。
牛乳アレルギーモデルマウスに対するOITにおけるBMの有用性の解析 前の実験において牛乳アレルギーマウスに対して、BM摂取と牛乳摂取との間にアレルギー反応に顕著な差異が認められれば、BMがOITにも有効に働く可能性が考えられる。そこで、前の実験と同様に牛乳アレルギーマウス(カゼインアレルギーマウスまたはβ-ラクトグロブリンアレルギーマウス)を作製し、それらマウスに1週間毎日、牛乳あるいはBMを少量ずつ経口投与(コントロールとしてPBSを投与)する。その後、多量の牛乳を経口投与することによりアレルギー症状を誘発させ、3群(コントロール群・牛乳摂取群・BM摂取群)のアレルギー反応について直腸温度、症状観察(死亡・痙攣・不自然な呼吸・行動減少・鼻や頭を掻く)、自発運動量などの項目について解析する。
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Causes of Carryover |
研究が試験管内レベルでの実験であったため、経費が必要以上にかからなかったことと、学内研究費(個人研究費)等により支出可能な物品の使用が多かったのが、次年度に繰越した大きな理由である。次年度は、動物実験およびそれに伴う機器の導入、さらには論文投稿等により助成金を使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)