2021 Fiscal Year Research-status Report
古代エンドウ「ツタンカーメン豆」の調理により生じる着色機構の解明と抗酸化性の解析
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17K00838
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
近藤 美樹 徳島文理大学, 人間生活学部, 准教授 (80326412)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ツタンカーメンエンドウ / 莢 / 抗酸化性 / TBRAS / SOD活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ツタンカーメンエンドウの莢は紫色を呈し、一般品種のうすいエンドウの莢よりも高い抗酸化作用を有する。昨年度、その有効成分はデルフィニジンおよびシアニジンをアグリコンとするアントシアニンであることを明らかにしている。2021年度は、ツタンカーメンエンドウの莢抽出物の抗酸化性をin vitroおよびin vivo実験系によって評価した。 In vitro実験における抗酸化性は、DPPHラジカル消去活性を指標にして検討した。ツタンカーメンエンドウの莢抽出物は、うすいエンドウ莢抽出物よりも7.4倍高い抗酸化性を有すことが明らかになった。In vivo実験では、実験動物としてICRマウスを用い、ツタンカーメンエンドウの莢抽出物を経口投与した後、鉄を腹腔内投与することにより酸化ストレスを誘導した。マウス血漿の過酸化脂質濃度をチオバルビツール酸反応物質(TBRAS)測定法で決定し、さらに、活性酸素の除去作用を有する抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性を測定した。ツタンカーメンエンドウの莢抽出物を投与した群のマウスにおいて、酸化誘導された群に対して血漿TBARS値およびSOD活性の上昇を抑制する傾向が認められた。これらの結果から、経口投与したツタンカーメンエンドウの莢抽出物は生体内抗酸化性を有し、各種疾病の原因として考えられている酸化ストレスを改善する可能性が示された。以上のように、ツタンカーメンエンドウの莢は、抗酸化性の点で利用価値が高いことを示唆する結果を得た。 また、前年までの研究成果のうち、ツタンカーメンエンドウの実の抗酸化成分の同定と調理による抗酸化性の変化について、学術雑誌への掲載が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、前年度の動物実験の開始が遅れたため。ただし、研究期間を延長したことにより、当初の計画内容は遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、動物実験の結果を含めて莢の抗酸化性に関する研究成果を学会ならびに学術雑誌にて公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により国際会議への渡航が中止になったことや学術雑誌への論文投稿が遅れ、掲載費用の余剰が生じている。令和4年度に、一部追加が必要な動物実験のキット費用および学術雑誌投稿費用として使用する。
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Research Products
(2 results)