2018 Fiscal Year Research-status Report
漢方生薬導入による認知症予防食事モデル構築のための基礎研究
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17K00839
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
天倉 吉章 松山大学, 薬学部, 教授 (50321857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 美子 松山大学, 薬学部, 教授 (20219108)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食生活 / 生薬 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会において懸念される疾患としてあげられる認知症の予防の実現には,生活習慣病と同様,食生活を含めた保健医療システムにおける対策が不可欠とみなされる.本研究では,漢方生薬の認知症発症遅延・予防効果を探り,生薬を食生活に導入するためにバランス強化した認知症予防食事献立を考案することを目的とする.前年度,70種の生薬についてin vitro解析し,そのうち5種の生薬(サンショウ,ケイシ,シテイ,ヒシノミ,モッカ)がERK1/2(神経細胞の機能を高め、記憶・学習や認知機能など幅広い高次脳機能に不可欠と解明されつつあるシグナル伝達分子)活性化作用及びアセチルコリンエステラーゼ(アセチルコリンの分解酵素)(AChE)阻害作用の両者を有することを認めた.また,その他の素材として,アカメガシワ,ビワヨウに顕著なAChE阻害活性を認めている.今年度は,両アッセイで活性を認めた5種の生薬をin vivo解析に供した.病態モデル動物として,MK-801(記憶や学習などと深い関わりのある受容体として認識されているNMDA受容体の拮抗薬)を腹腔内投与し,一過性健忘症を誘発したマウスを用いた.行動は,Y字型迷路(3本のアームで構成されるY字型の迷路)で解析した.その結果,交替行動率(3本のアームに対して次々と異なるアームを探索する割合を調べるもの)や総移動距離(新たな環境に慣れない場合は増加する)は,いずれの生薬を投与した場合でも有意な改善効果が認められなかった.脳組織における効果は,ERK1/2活性化作用を測定することで解析した.その結果,サンショウで改善傾向が認められ,他のサンプルでは効果が認められなかった.一方で,アカメガシワ抽出物について,AChE阻害活性を指標に活性画分の成分精査を行った結果,活性画分からbergenin,11-O-galloylbergenin等が単離,同定された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivo解析において条件が最適でなかった可能性があること,改めて検討する必要のあることが判明した.しかし,今年度の解析結果から献立作成のための材料を一つ選びだすことができ,次年度の研究の方向性を示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの評価結果を踏まえ,次年度はサンショウを使った献立を考案するとともに,5種の生薬の投与量を高くして,再度in vivo解析を行う予定である.また,アカメガシワの活性成分についてさらに精査する予定である.
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Causes of Carryover |
生じた残額については,年度をまたいで発注した物品費(試薬等消耗品)によるものである.
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