2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K00841
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
小木曽 加奈 長野県短期大学, その他部局等, 准教授 (30435284)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キノコペースト / 通電処理 / 官能試験 / 添加 / 加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
長野県内で資源として利用されているシカ肉は4.5%にとどまり、まだまだ活用の動きは鈍い。シカのような害獣肉の利用に対する食品科学な提言がより必要となってきている。本邦の食糧資源確保のため食肉として有効活用するための基礎・応用研究が必要だと考えた。そのため、長野県内で捕獲されるニホンジカ(ホンシュウジカ)についてその呈味特性と食肉としての特性を生かした有効利用方法を検討することでより一層の振興をはかることを目的とした。 シカ肉は他の肉に比べ、硬いという弱点と結着性が高いという特性を有する。そこでシカ肉を粗挽きミンチにし、そこに各種キノコペーストを加えることでうまみや美味しさ等について検討を行った。普通、畜肉ミンチはキノコのペーストを加えるとそのプロテアーゼの活性で溶けてしまう。しかし、シカ肉は溶けないことがわかった。またキノコペーストを20%添加することでうまみやおいしさが増強した。キノコのグルタミン酸やグアニル酸によるものであると考えられる。キノコのうち、シイタケやヒラタケ属新品種、ホンシメジは他のキノコよりもおいしさが増強した。今後、この3つのキノコに絞って検討を行っていきたい。 シカ肉の弱点は硬さのほか、血のような匂いや生臭さも欠点となっている。そこで簡易な処理でよりシカ肉の弱点をカバーするため、通電処理の検討を行った。通電処理の方法として電力調整器を主部品とした自作装置を用いた。官能試験の結果、通電処理後の肉は通電しないものに比べ、肉の臭みは有意に弱くなる(p<0.0001)ほか、肉の硬さも有意に軟らかく(p=0.0016)、おいしく(p=0.0117)なった。以上のことから、今回の通電処理では短い時間でシカ肉の弱点である臭みと硬さを抑えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シカ肉の加工品としてミンチに添加するキノコが決定したこと、また新たな加工方法として通電処理を見出したことから、これらに絞って検討できるようになった。 一方で、ミンチ肉のゲル化についてはこれから検討を行う。肉のゲルの見える化については、計算科学を用いる予定であるが、難易度が高いことが予想される。一方で見える化に関し、顕微鏡下での報告もあるため、計算に着手が困難な場合は実験系を顕微鏡での実験に移し推進していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
シカ肉ミンチ肉への添加物としてキノコのうち、シイタケやヒラタケ属新品種、ホンシメジについて絞って検討を行っていく。シカ肉は加工加熱時に非常に硬く、灰色になってしまうことが大きな欠点である。そのため、これらの3つのキノコを添加したソーセージなどの加工品を作成し、シカ肉単体での加工品よりも一層おいしく、発色の検討を行っていく予定である。 通電処理した肉についても同様に加工品としてその優位性が保たれるかどうかを検討する必要がある。そのため、これらも積極的に検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ゲル化・分析に関する研究を行う費用として初年度を多めにしていたが、着手しやすい加工関連の試験を先に行ったため、次年度使用額が生じた。今年度以降、ゲル化や分析に関する研究に着手するため問題はない。
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Research Products
(3 results)