2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K00843
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
山崎 健 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究員 (50510814)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古代 / 食 / 動物遺存体 / 動物利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで古代における食生活の復元は、文献や木簡などの文字資料による研究が中心であった。そこで本研究は、遺跡から出土する食料残滓から古代における食生活の実態を解明することを目的として、食生活に関わる基礎資料を収集するとともに、遺跡出土資料の分析をすすめていく。そして、それぞれの資料特性を考慮しながら「遺跡出土資料による研究成果」と「文字資料による研究成果」を比較検討することによって、古代の食生活を多角的に考察する。 本年度は、古墳時代および古代の遺跡から出土した動物遺存体を集成するとともに、未報告資料の分析を実施した。また、地方における研究事例として、貝層の水洗選別など適切な調査によって質の高い資料が蓄積された房総地域を対象に、律令国家形成期における貝類利用の検討を進めた。その結果、千葉県域で古墳時代~古代の57遺跡から出土した約46万個体の貝類を抽出することができ、貝層分布の時期的変遷、文字資料には残りにくい地方における食生活の実態や海産物の流通を明らかにすることができた。 こうした成果について、近江貝塚研究会において「古代における貝類利用の実態―房総地域の事例研究―」と題した口頭発表をおこない、『条里制・古代都市研究』第33号には古代における動物遺存体研究の視点と方法に関する論文を投稿した。さらに、海外研究者とのセミナーや一般向けの講演を通じて、研究成果を幅広く発信することに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古代の食生活に関する基礎資料を着実に集積したとともに、事例研究を進めて、文字資料には残りにくい地方における食生活の実態や海産物の流通を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
未報告資料が想定以上に多く保管されていることが確認できたため、積極的に分析をおこない、資料化を図る。そして各地の分析事例を蓄積させて、古代における食生活の地域的多様性を把握していく。
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Causes of Carryover |
計画していた調査の一部が、現地との調整により次年度へ延期となった。前年度予定の調査地を含めて、現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)