2017 Fiscal Year Research-status Report
食事・栄養素が認知指標および脳形態に与える影響の解明-オミックス解析を用いた検討
Project/Area Number |
17K00845
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小暮 真奈 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (30789764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧 靖之 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 教授 (10375115)
寳澤 篤 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00432302)
小柴 生造 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (70332301)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知指標 / 脳形態 / 食事 / 栄養素 / オミックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事・栄養素と脳形態との関連を検証し、更に食事・栄養素と脳形態・認知機能との中間にある代謝物質を同定するにあたっては、栄養情報、MRI情報、MMSE(認知機能)の情報が必須となるが、現在、①65歳以上、②MRI撮像済み、③MMSE回答済みの全ての条件に該当し、データ化されている者が一定数に満たないため、引き続きデータを蓄積している状況である。 今年度は栄養・食事パターンと脳形態・認知機能との関連の先行研究を詳細に調べた。特に魚等に多く含まれているn-3系脂肪酸と認知症の発症リスク低下との関連が多く報告されていたが、いずれも人での作用機序を詳細に言及した論文は見当たらなかった。本研究で脳の健康に寄与しうる代謝物質をオミックス解析から同定することができれば、作用機序に則った認知症予防に向けた食事内容の重要性を訴えるための重要な知見を得ることが可能となる。 2018年度より①65歳以上、②MRI撮像済み、③MMSE回答済みの全ての条件に該当する対象者について、血漿の代謝物質測定を実施する予定である。食物摂取頻度調査票(FFQ)から得られた情報のデータベース、MRIのデータベースおよびMMSEのデータベースを統合後、構築した後、データベースを統合し、「食品の摂取頻度および食事パターンと脳形態・認知機能との関連」について検討する。 どの食品やどの食事パターンが脳形態(大脳皮質や海馬の萎縮)や認知機能と関連しているかについて検証後、曝露要因を「抽出された食品(栄養素含)および食事パターン」、アウトカムを「脳形態・認知機能」とした分析モデルにオミックス解析結果を加えて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食事・栄養素と脳形態との関連を検証し、更に食事・栄養素と脳形態・認知機能との中間にある代謝物質を同定するにあたっては、栄養情報、MRI情報、MMSE(認知機能)の情報が必須となるが、現在、①65歳以上、②MRI撮像済み、③MMSE回答済みの全ての条件に該当する者が一定数に満たないため、引き続きデータを蓄積している状況である。 今年度は栄養・食事パターンと脳形態・認知機能との関連の先行研究を詳細に調べた。特に魚等に多く含まれているn-3系脂肪酸と認知症の発症リスク低下との関連が多く報告されており、21のコホートデータを合わせたメタアナリシスでは、魚の摂取やDHAの摂取は認知症やアルツハイマー症のリスクを低下させること、また、特に多価不飽和脂肪酸は軽度認知症やパーキンソン病のリスクを低下させるが、n-3系脂肪酸は全ての認知機能のリスクを低下させるわけではないことも報告されていた。食事パターンを曝露要因として検討している研究では地中海食パターン、日本食パターンが認知症の発症リスク低下と関連することがいくつか報告されていた。しかしながら、いずれも人での作用機序を詳細に言及した論文は見当たらなかった。 本研究で脳の健康に寄与しうる代謝物質をオミックス解析から同定することができれば、作用機序に則った認知症予防に向けた食事内容の重要性を訴えるための重要な知見を得ることが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度より①65歳以上、②MRI撮像済み、③MMSE回答済みの全ての条件に該当する対象者について、血漿の代謝物質測定を実施する予定である。食物摂取頻度調査票(FFQ)から得られた情報のデータベース、MRIのデータベースおよびMMSEのデータベースを統合後、構築した後、データベースを統合し、「食品の摂取頻度および食事パターンと脳形態・認知機能との関連」について検討する。 どの食品やどの食事パターンが脳形態(大脳皮質や海馬の萎縮)や認知機能と関連しているか、については多重ロジスティック回帰分析によりオッズ比を推定する。共変量としてエネルギー摂取量、身体活動、喫煙、飲酒等の生活習慣要因を投入する。統計解析にはSAS 9.4 (SAS Institute Inc, Cary, NC)を用いる。 曝露要因を「抽出された食品(栄養素含)および食事パターン」、アウトカムを「脳形態・認知機能」とした分析モデルにオミックス解析結果を加えて検討する。加えた代謝物質が曝露要因とアウトカムのどちらにも関連がある場合、曝露要因とアウトカムとの関連は弱まり、逆に関連がない場合は曝露要因とアウトカムとの関連は強まることが考えられる。このような分析から食事・食品(栄養素含)がどのような代謝物質を介して脳形態に影響を及ぼすのかを評価した後、論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
食事・栄養素と脳形態との関連を検証し、更に食事・栄養素と脳形態・認知機能との中間にある代謝物質を同定するにあたっては、栄養情報、MRI情報、MMSE(認知機能)の情報が必須となるが、現在、①65歳以上、②MRI撮像済み、③MMSE回答済みの全ての条件に該当し、データ化されている者が一定数に満たないため、引き続きデータを蓄積している状況である。 以上より、2017年度に使用予定であった血漿メタボローム解析用の試薬代を2018年度に繰り越すこととなったため、「次年度使用額」欄が「0」より大きくなった。
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