2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on a new approach to suppress vascular inflammation by food factors targeting endoplasmic reticulum stress control
Project/Area Number |
17K00847
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岸本 良美 お茶の水女子大学, お茶大アカデミック・プロダクション, 寄附研究部門准教授 (70600477)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 血管炎症 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化の進展に重要な役割を担う血管内皮細胞ならびに単球系細胞を用いて、これまでの検討で小胞体ストレス抑制作用が示唆された食品成分について、作用機序の検討を行った。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に飽和脂肪酸のパルミチン酸を作用させると、炎症性サイトカインIL-6や接着分子ICAM-1、VCAM-1などの発現増加に加えて、小胞体ストレスマーカーであるGRP78、sXBP1、ATF3、ATF4、CHOPの顕著な発現増加が認められた。また、小胞体ストレス誘導剤であるThapsigargin(Tg)を添加した場合にも、小胞体ストレスマーカーとともに、炎症性サイトカインや接着分子の発現増加が認められた。これまでにTg添加による小胞体ストレスマーカーの発現増加をいくつかのポリフェノールが抑制することを明らかにしたが、それらはパルミチン酸添加による小胞体ストレスマーカーの発現増加には抑制効果を示さなかった。そのため、パルミチン酸はTgとは異なる経路で小胞体ストレスを惹起する可能性が示唆された。パルミチン酸による炎症反応に関与することが知られているMAPK、NF-κB、STAT3について、阻害剤を用いた検討を行い、興味深いデータを得ることができた。また、抗酸化酵素であるheme oxygenase 1 (HO-1)が小胞体ストレスを抑制するという知見をふまえ、クルクミンの影響を検討したところ、炎症反応の抑制と、GRP78の発現減少が認められた。 ヒト単球系細胞THP-1細胞における検討では、Tgにより誘導された小胞体ストレスマーカーの発現量が抹茶抽出液ならびに主要なポリフェノールであるEGCGにより抑制されたことを示したが、作用機序として、ATF3、ATF4のタンパク質発現や、PERK、IRE1のリン酸化について検討し、データを得ることができた。
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