2017 Fiscal Year Research-status Report
Identification of a new mechanism for ketogenesis by ChREBP
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17K00850
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
飯塚 勝美 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40431712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 純 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40270855)
堀川 幸男 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (10323370)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ケトン食 / ChREBP / 脂質異常症 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケトン食(いわゆる低糖質ダイエット)は肥満や糖尿病治療に有効と考えられている反面、高ケトン血症による健康被害の可能性が指摘されている。今年度はまずケトン食により体重や脂質におよぼす効果を、野生型(WT)マウスおよびグルコース活性化転写因子であるChREBPノックアウトマウス(KO)を用いて検討した。12週齢オスのWTおよびKOに対して8週間ケトン食を負荷した。通常食と比べて、両群ともに体重増加および内臓脂肪重量は増加したが、両群に差は見られなかった。24時間絶食試験については、血糖は通常食では絶食で低下するのに対してケトン食ではWTおよびKOともに奇異性に上昇し、KOでより顕著であった。遊離脂肪酸は通常食では絶食で上昇するのに対してケトン食では逆に両者ともに低下し、KOでより顕著であった。血中ケトン濃度は通常食では絶食で遊離脂肪酸と同様に上昇し24時間絶食時にはWT>KOであったが、ケトン食では絶食でも血中ケトン濃度は不変であり野生型とKOは同程度であった。また、6時間絶食時の血中トリグリセリド濃度及び血中コレステロール濃度はケトン食で通常食に対して高値であり、通常食の際に見られたKOによる低下効果はケトン食では見られなかった。絶食時の肝臓遺伝子発現については、WTにおけるChREBPβ発現はケトン食で低下した。ケトン体合成に関与するHmgcs2はケトン食で低下したが、WTとKOは同程度であった。脂肪分解に関与するAcox,Ppara,Fgf-21はケトン食負荷KOで顕著に増加した。以上から、ケトン食は血糖低下効果と引き換えに血清脂質を悪化させる可能性がある。ケトン食ではChREBPの発現が低下しているため、絶食時にはChREBPの抑制による改善効果は少ないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケトン食による健康リスクについて一定の成果を明らかにすることができた。また、ケトン食負荷時のChREBPの作用についても新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は絶食時に見られるケトン食の効果(副作用)を明らかにすることができた。次年度以降は、摂食時におけるケトン食の効果(特に肝臓脂肪蓄積など)を検討していく。今回初めて明らかとなった、ケトン食負荷ChREBPノックアウトマウスで脂肪酸β酸化が亢進する現象は非常に興味深いため、分子メカニズムをさらに詰めていく。 また今年度と異なる短期的なケトン食負荷による血中ケトン濃度に対する効果などを検討して行く。さらに、ChREBPをアデノウイルスにより過剰発現させたマウスでの血中ケトン濃度に対する効果との比較を行なう。
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