2023 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患の病態進行を抑制する食品因子の探索とその作用機序解明
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17K00851
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Research Institution | Shubun University |
Principal Investigator |
伊藤 友子 (大矢友子) 修文大学, 健康栄養学部, 教授 (80329648)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精神疾患 / グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素 / カルボニル化合物 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、引き続きサンプリングを行い、統合失調症患者と健常者の末梢血由来リンパ芽球様細胞(LCL)におけるグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)の脱水酵素活性を測定した。それらの結果、これまでと同様に、統合失調症患者のLCLにおける脱水酵素活性は、健常者に比べて低い傾向が認められた。一方で、GAPDHのカルボニル化合物による修飾形式を解析した。修飾部位として、GAPDH分子の表面に露出しているアルギニン残基およびリジン残基が認められた。特に、LC-MS/MS解析の結果から、NAD結合ドメインに位置するアルギニン残基に修飾付加体の存在が確認された。また、活性中心に存在するシステイン残基をグルタチオン化したGAPDHでカルボニル化合物による修飾反応を行い、その後還元させた実験では、脱水酵素活性はグルタチオン化していないGAPDHでカルボニル化合物による修飾反応を行った場合や、さらにそれを還元させた場合の両方に比べて高い活性を示した。つまり、グルタチオン化によって保護しておくと活性中心のカルボニル化合物による修飾反応は起こりにくく、活性低下が抑えられた。さらに、反応液中のカルボニル化合物の濃度を高くするにつれて、グルタチオン化したGAPDHは還元させても活性は復活しなかった。よって、カルボニル化合物による修飾反応が活性中心やその近傍で起きており、脱水酵素活性を低下させていることが示唆された。以上のことから、脱水酵素活性を低下させている少なくとも一つのメカニズムとして、カルボニル化合物はNAD結合ドメインを選択的に修飾していることが予想された。現在、GAPDHの脱水酵素活性以外に対するカルボニル化合物による影響についても解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床検体におけるGAPDHの脱水酵素活性の測定に時間を要した。GAPDHにおけるカルボニル化合物による修飾部位の解析は進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を基に、GAPDHの脱水素酵素活性の変化およびカルボニル化合物による修飾反応と病態進展との関連を明らかとする。患者と健常者それぞれの末梢血由来リンパ芽球様細胞におけるGAPDHタンパク質発現レベルをLC-MS/MSを利用して比較する。また、このGAPDHにおけるカルボニル化合物による翻訳後修飾部位を明らかとする。GAPDHの脱水酵素活性以外、特にアポトーシスや核内移行に対するカルボニル化合物による影響とそのメカニズム解析を詳細に行う。食品因子による制御機構について、カルボニル化合物との反応機構を中心に詳細な解析を進める。一方で、各種ストレスに対するリンパ芽球様細胞の応答を解析する。
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Causes of Carryover |
測定条件を工夫したことにより、それらにかかる物品費を抑えることができたため。
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