2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on production and functional analysis of alginate deoxysugars as new rare sugars
Project/Area Number |
17K00852
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柴田 敏行 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50380796)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DEH / KDG / Formosa haliotis / DEH還元酵素 / Caenorhabditis elegans / 寿命延長活性 / 抗酸化性 |
Outline of Annual Research Achievements |
4-deoxy-L-erythro-5-hexoseulose uronic acid(DEH)および2-keto-3-deoxy-D-gluconic acid(KDG)は,褐藻細胞間粘質多糖のアルギン酸からリアーゼやレダクターゼの作用によって生じる希少糖である.本研究では,これらアルギン酸デオキシ糖について効率の良い製造方法の開発と生理機能解析に関する研究を目的としている.平成29年度は,連携研究者と共に次の成果を得た. 1. DEH還元酵素の獲得:海洋細菌Formosa haliotis MA1株の全ゲノム解析から,short-chain dehydrogenase/reductases(SDR)と推定される遺伝子sdr1とsdr2を得た.これらのうちsdr1について発現プラスミドを構築し,大腸菌BL21株を用いて形質転換体を得た.菌体の破砕液から可溶性画分について精製を行い,単一の精製SDR1を得た.SDR1の活性測定と酵素反応生成物のLC/MS解析の結果から,SDR1はNADH依存型DEH還元酵素であることが分かった. 2. DEHの生理機能:動物培養細胞(正常細胞,ガン細胞)を用いたMTT試験から,DEHが細胞毒性を持たないことを確認した.Caenorhabditis elegans N2株を用いて,DEHの寿命延長を試験した結果,特定の濃度下で平均寿命ならびに最大寿命を延伸する傾向が見られた.DPPHラジカル捕捉活性試験では,コントロールとして用いたTroloxとの比較から,DEHが抗酸化性を持つことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. DEHからのKDGの製造には,DEH還元酵素の獲得が不可欠である.研究計画では,平成29年度に「DEHレダクターゼリコンビナントタンパク質の作製とKDG 製造方法の開発」を掲げている.Formosa haliotis MA1株の持つNADH依存型DEH還元酵素について発現系と精製系の確立にそれぞれ成功し,知財申請(特願2018-034178)を行った. 2. アルギン酸デオキシ糖の生理機能解析では,DEHについて評価試験を行い寿命延長活性と抗酸化性を持つ可能性を確認した.さらに動物培養細胞を用いた試験から,DEHが細胞毒性を持たないことを明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 獲得したNADH依存型DEH還元酵素について,至適条件下でのDEHからKDGへの変換効率について算出を行う. 2. DEHの寿命延長活性について,無添加区との比較で平均寿命と最長寿命の延伸について有為差を得るまでには至っていない.DEH濃度を変えて再試験を行うと共に,抗老化遺伝子の発現解析やテロメアの検出を試みる. 3. KDGの持つ生理機能解析として,DEHと同様,寿命延長活性と抗酸化性の測定,細胞毒性の有無について試験を行う.
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Causes of Carryover |
消耗品を購入した結果,定価と納入価の差額から少額の残金が生じた.助成金を効率良く使用するために,次年度へ繰り越しした.次年度の助成金と併せて消耗品の購入に使用する予定である.
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